蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

ハーレムホンクボールウィークの結果

 

 遅くなったが、先日ハールレムが無事終わった。(ここではオランダ語読みにしたがってハーレムではなくハールレムと呼んでおく)


 結果は


1位 キューバ


2位 プエルトリコ


3位 アメリ


4位 オランダ


5位 日本


6位 台湾


という風になった。  





すべての国の結果を見ていきたいけれど、ここはオランダ野球のブログなのでオランダ代表の考察をしていきたい。





プエルトリコ4-2オランダ





②オランダ3-0台湾





③オランダ18-3日本





アメリカ1-0オランダ





キューバ4-0オランダ





準決勝 オランダ0-1プエルトリコ





三決 オランダ3-4アメリ





 こうやって見てみると予想したとおり打線が振るってないことが分かる。S,デヨング、レヒトが引退し、ローイが怪我で離脱している状況でエンゲルハルトやB,デヨングの奮起が不可欠だった。B,デヨングの.250はまだしろエンゲルハルトの.130はチームとしてかなりの痛手だった。どういうことかエンゲルハルトは近年KNBSBが開催している国際大会では打てていない。


 しかし、その中でがんばっていた選手が三人ほどいる。それはデュルスマ、ファンデルメール、ファンへイドールンである。デュルスマは守備の人として代表常連のベテランだが、打撃が弱いと言われてきた。しかし、近年の国内リーグでは打率三割は普通に超えてきている。そして今回1番ショートとして全試合に出場し、.429で首位打者を獲得したのだ。正直僕は去年のワールドカップの際もなぜ彼が落選したのか理解できなかった。オランダ代表として長年活躍してきた彼があの歓喜の輪の中に入れなかったことが非常に悲しかったし悔しかった。僕がそうであるなら、本人はその百倍悲しくて悔しかっただろう。僕にはその思いを今回のハールレムにぶつけてきたように見えて仕方ない。9月に開催され、国内からも大きな注目を集めるだろう野球ユーロ。そこでも今回以上の活躍をして、デュルスマここに健在というところを見せてほしい。


 ファンデルメールはこのブログでも何度も取り上げて注目してきた。その彼が期待以上の成績を見せてくれた。ローイ不在のショートの穴を完璧すぎるほどに埋め、シャープな打撃で.350をマーク、映像でも見たが守備も軽快にこなしていた。さきほどデュルスマの話をしたばかりだが、ポストデュルスマとして大きく名乗りを上げた。しかし、オランダ代表の内野は相当な競争だ。


 そして、今回最大の争点となっていたキャッチャーに新星が現れた。ファンへイドールンだ。去年までアメリカでプレーしていて、今年からフーフトクラッセに参加。ADOの4番キャッチャーとしての活躍が認められ代表入りした。緒戦に安打を放ったへイドールンは二戦目は先発マスク。この試合でタイムリ二塁打を2本打ち、それ以降レギュラーとして全7試合に出場した。日本戦ではホームランを放ち自慢の長打力を見せつけ、ノーイとの競争で一歩リードした形だ。打線が課題のオランダにとってはぴったりなタイプのキャッチャーなのかもしれない。







 さて、一方投手陣のほうはどうだろうか。一番調子がよかったのはベルフマンだ。


台湾戦の彼のピッチングを見ていたが、ストライク先行のピッチングでストレートも伸びていてかなり調子がいいように見えた。準決勝でもプエルトリコ打線を4安打1失点に抑えている。それと比べると、エースコルデマンスは少し物足りない内容だ。開幕戦のプエルトリコ戦では、三振こそ奪っていたもののヒットを結構打たれ味方に攻撃のリズムを与えることができなかった。去年のワールドカップで見せたテンポのいいピッチングとは少し違った。ユーロではそのテンポの良さが戻っていることに期待したい。


 ここで一番僕の印象に残るピッチングをしていたのがヘイステックである。彼は今年もネプチューンズのダブルエースとして8勝3敗、1.71と安定した投球を見せてくれていた。しかし彼は、代表常連ながら去年のワールドカップでのロースター入りを逃し、悔しい思いをしていたひとりだ。そんな彼はキューバ戦に先発した。6回途中を投げ4失点と先発の役割は果たせなかったが、クリーンナップアブレウ、デスパイネを連続三振に取るなど印象に残るピッチングをしていた。伸びのあるストレートとスライダーのコンビネーションが素晴らしいと思わせた。スタミナやコントロールを磨き、オランダのエースへと成長してくれることを期待したい。


 中継ぎでは初召集のコルネリセンが力のある球を投げこんでいたし、ファンデュリエルも安定していた。しかし、N,ストイフベルヘンが怪我により投げることができなかった。シーズンの結果を見ても彼ではなくコックスを選ぶべきであったと思う。








 全体的に見ると、やはり打線が弱かった。オランダの特徴がいくら投高打低とはいえ、投手陣が抑えても点を取らなければ勝てない。少ないチャンスをものにしていく勝負強さが戻ってくることが不可欠だ。しかし、期待の若手が出てくるなどいい要素もある。この結果をユーロにつなぐことができれば、最終的にいい大会になったと思えるだろう。開催国として、次のハールレムではぜひ優勝してもらいたい。


 ユーロに向けた選手の入れ替えについてはまだ安定感のないヘラルトや調子の悪かったアレンズ、ヨセファの代わりにパイレーツのベルケンボスフやネプチューンズのフェルノーイ、ディレらを招集するべきだろう。