蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

2013WBCオランダ代表の仮発表

 

2013-01-31 16:37:12 の記事です。

 
 

 先日、2013WorldBaseballClassicに向けた28人の仮ロースターが発表された。発表されるやいなや、私のTwitterのTLはオランダ代表の話で持ちきりだった。強い。過去2大会のWBCオランダ代表の中でも最強。ほかの国と比べてみても見劣りしない。その反面、私の気持ちはあまり盛り上がっていなかった。国内組(フーフトクラッセ組)が6人、、、 普段、フーフトクラッセを追っている人間からすると、正直落胆した。国内組がベンチに回るのは予想していたものの、野手からは一人も選ばれないというのは予想外だ。アメリカ組は強い。しかし、大半がオランダ領キュラソー出身。この御時世に、白人がどうの黒人がどうのと言うのはアレだが。オランダで生まれ、育った選手が少ないのは残念だ。実際、facebookではオランダ人が、これはキュラソー代表?このチームの母語はパピアメント語(キュラソーで使われるオランダ語スペイン語が混ざった言語)?などと不満を漏らしていた。アムステルダム内野手エンリケTwitterにて憤激。ぜひ、国内組6人には仲間の分までやってもらいたい。


 さて、今回の目玉はメジャーリーグのプロスペクトにも入っている3人だ。プロファー、シモンズ、ボガーツ。彼らは有名だし、私は彼らのことを解説できるほど、よく知らない。この3人の解説は他に任せることにする。私の注目選手は4人。コルデマンス、コルネリセン、ウルバナス、サラガの4人だ。彼ら4人を主に解説していく。 


 まず、ロースターの一覧を記しておく。


投手 (13) 

ダーフィト・ベルフマン(キンヘイム) ロブ・コルデマンス(アムステルダム) バイロン・コルネリセン(パイオニアーズ) ベリー・ファンデュリエル、ディエゴマー・マークウェル、オーランド・イェンテマ(ネプチューンズ) ヨナタン・イセニア(オリオールズ) ケンリー・ヤンセンドジャース) ジェアー・ジャージェンス(オリオールズ) シャーロン・マーティス、トム・ストイフベルヘン(ツインズ) ルーク・ファンミル(レッズ) ユアン・カルロス・スルバラン(ロイヤルズ) 


捕手 (2)

スペンサー・キーボーン(ナショナルズ) ショーン・サラガ(ブリュワーズ

 

内野手 (8) 

サンダー・ボガーツ(レッドソックス) ユレンデル・デカスター(米独立) ジュリクソン・プロファー(テキサス) ニック・ウルバナス(テキサス、アムステルダム) ヨナサン・スコープ(オリオールズ) アンドレルトン・シモンズ(ブレーブス) クルト・スミス(マーリンズ) ヘインリー・スタシア(ブリュワーズ

 

外野手 (5)

ウラディミール・バレンティン(ヤクルト) ロジャー・バーナディナ(ナショナルズ) アンドリュー・ジョーンズ楽天) ランドルフ・オデュベル(オリオールズ) カリアム・サムス(マリナーズ



ロブ・コルデマンス 右投げ右打ち 38歳 

 オランダの絶対的エース。国内では無双中の大ベテランだ。昨季、通算200勝を達成した。今年の成績は10勝1敗、防御率0,22、奪三振94。オリンピック出場はアトランタシドニーアテネ、北京の四度。WBCも今回で三度目だ。伝家の宝刀チェンジアップで相手を翻弄させ、テンポ良く打ち取っていく。ストレートは140キロ前後だが、急速表示以上の威力を持つ。ほかにはゆるいカーブとカットボール。見かけによらず三振を取れる投手だ。2011のワールドカップ決勝のキューバ戦で八回途中まで2安打1失点に抑えた。オランダ国内では、まるでなでしこの澤のような扱いだ。今回のWBCでは先発はもちえろん、いいところでロングリリーフなどもあり得る。彼のチェンジアップがどこまでメジャーリガーたちに通用するのだろうか。 


バイロン・コルネリセン 右投げ右打ち 19歳

 今年、パイオニアーズのルーキーとしてデビュー。いきなり守護神の座を掴んだ若武者だ。

 まだ19歳である。19歳の彼がクローザーになったのには理由がある。それは、2009年彼が野球アカデミーに参加した時のコーチが以前オランダ代表のクローザーとして活躍していたポール・アネだった。パイレーツやパイオニアーズでコーチの経験があるアネは、コルネリセンを強いクローザーとしての教えを叩き込んだのである。

 まだ昨年のハーレムで代表デビューしたばかりである。2試合に投げて防御率0.00、2奪三振。日本で言えば、ソフトバンクの大場のような力のこもった投げ方から重いストレートを投げる。若さで、相手がたとえメジャーリーガーであっても物怖じしない投球に期待だ。


ニック・ウルバナス 右投げ左打ち 20歳 遊撃手

 去年はオランダ国外で活躍した23歳以下の選手に贈られるGuus van der Heijden Memorial Trophyを受賞した。現在はテキサス・レンジャーズでプレーしている。

 ウルバナス家はオランダの野球一家だ。ニックの祖父、父ともに代表選手でMVPを受賞している。この家のことは大体のオランダ人が知っている。私がホームステイした先の夫婦もこのウルバナスとコルデマンスのことだけは知っていた。

 アメリカに渡る前までは、父であるチャーリー・ウルバナスJrが監督をしていたパイレーツでプレーしていた。彼はデビュー戦でいきなりショートライナーをダイビングキャチ。その才能の片鱗を見せ、翌年2010年はショートのレギュラーとして定着。代表にも選ばれた。次の年から彼はアメリカへ渡る。アメリカへ渡った彼は、「オランダでは誰もが自分のことを知っている。打てないと、ウルバナス家はそんなものか、と言われていた。けど、ここは違う。誰も僕のことを知らない。ほんとに野球を楽しめているよ。」と、彼への期待がオランダ国内では重圧になっていたことを明かした。

 昨年はユーロのオランダ代表に選出。のびのびとしたバッティング。軽快なゲッツー。快速などを披露し、セカンド、ショートとしてチームを牽引。個人としては最優秀守備選手を受賞。アメリカでの成長とともに、今度は世界の舞台で暴れ回る番だ。

 

ショーン・サラガ 24歳 右投げ両打ち 捕手

 the・キャッチャーと呼ぶにふさわしいがっちりした体格の両打ちの捕手だ。アルバ出身の彼は、大学でスポーツ科学を学ぶつもりでいたところを、ドラフトでブリュワーズに指名され、プロの道に進んだという経歴を持つ。アメリカのマイナー選手によるホームラン競争では優勝したこともある。右打ちの時は強打、左打ちの時はうまく合わせるバッティングをする。

 代表のキャプテンでもあったシドニー・デヨングが引退してから、なかなか固まらない捕手。シドニーがいた頃、彼からつきっきりで指導を受けていたのがこのサラガとアムステルダムのノーイだ。2011のワールドカップでは、決勝ラウンドのキューバ戦で先発マスク。先発のイェンテマを根気強くリード。バッティングでもサムスの前でチャンスメイクし、2ランホームランを呼んだ。

 昨年のユーロには怪我のため呼ばれなかった。怪我の復帰からどこまで試合感などが戻っているか不安ではあるが、選ばれなかったノーイのためにも彼のパワフルな打撃が勝利を引き寄せる。




 以上、ここでは4人に限って注目したが、ほかにも注目すべき選手はたくさんいるし、もちろん私の好みも含まれる。しかし、この4人に魅力を感じたから注目した。今回のオランダ代表は強い。日本に勝つ力も十分に持ち合わせている。スピードのあるバーナディナやシモンズ。パワー自慢で一発が見られるバレンティン、ジョーンズ。ジャージェンス、ストイフベルヘンなど豊富な先発陣。守護神ヤンセン。ほんとにバランスのとれたチームだ。今からでも彼らの試合が楽しみだ。そんな強者ぞろいのチームの中で私が注目した4人が存在感を見せられるか。見せて欲しい。是非、メジャ-リーガーだけでなく、彼らにも注目しながらオランダを見て欲しい。

 


【追記】 

4人に限った記事になってしまい申し訳ない。チーム全体の記事はまた書きます。

2月の20日がロースター変更締め切り。