蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

2013ホーフトクラッセ前半戦

2013-05-31 20:54:37 の記事です。

 

 今春、世界の人々が野球に熱狂しました。そう、WBCです。今大会は今まで強豪国に対し、格下と思われてきた新興国の躍進が顕著に見られました。欧州のオランダやイタリア、さらに南米のブラジル。中でもオランダはベスト4を達成。この快挙はオランダ国内でも大いに報道され、盛り上がりました。私がステイしていた先のファザー、マザーからはメールが届きました。みんな、テレビで応援していたということです。こうした盛り上がりの後にオランダ国内リーグ・ホーフトクラッセが開幕。WBC効果により観客動員数やメディア露出の増加を期待しましたが、実情は変わらない。むしろ、減っているのではと思うほどです。やはり、スポーツにおいて基本的には国内の基盤と、代表チームの強さは比例するはず。オランダはホーフトクラッセの発展にもっと尽力すべきです。その発展の契機として個人的に期待しているのが、MLBアムステルダム遠征なんですが、、、少し脱線しすぎるので、またの機会に話したいと思います。




 さて本題です。

 4月11日に開幕した今シーズン。現在最多で21試合を消化しています。

COMPETITIE / REGULAR SEASON - HOOFDKLASSE / MAJOR LEAGUE

(Competitie begonnen op donderdag 11 april; bijgewerkt t/m dinsdag 28 mei)

(Regular Season opened on Thursday, April 11; through games played on Tuesday, May 28)

STAND

STANDINGS G W L T PNT GB PCT. RUNS OPP HOME ROAD DAY NIGHT STREAK

1 DOOR NEPTUNUS 20 17 3 - 34 - .850 156 69 9 - 0 8 - 3 13 - 1 4 - 2 W 3

2 CORENDON KINHEIM (1) 19 16 3 - 32 0,5 .842 163 51 10 - 1 6 - 2 13 - 0 3 - 3 L 1

3 L&D AMSTERDAM PIRATES (1) 20 16 4 - 32 1 .800 119 46 9 - 1 7 - 3 10 - 4 6 - 0 L 2

4 VAESSEN PIONIERS 21 11 10 - 22 6,5 .524 130 90 5 - 5 6 - 5 8 - 7 3 - 3 W 6

5 UVV 21 10 11 - 20 7,5 .476 94 91 5 - 5 5 - 6 6 - 9 4 - 2 W 1

6 MR. COCKER HCAW 21 6 15 - 12 11,5 .286 73 125 3 - 7 3 - 8 4 - 11 2 - 4 W 3

7 MAMPAEY THE HAWKS 21 4 17 - 8 13,5 .190 62 185 2 - 9 2 - 8 3 - 12 1 - 5 L 6

8 ADO LAKERS 21 2 19 - 4 15,5 .095 55 195 1 - 10 1 - 9 1 - 14 1 - 5 L 2

(from Grand Slam http://catcher.home.xs4all.nl/bbslam.htm )

 

・上位3チーム

上位3チームは相変わらずの強さで、下位のチームに対してはほぼ負けません。現在、首位のネプチューンズは新加入のブークハウト外野手やベテラン・レヒトの活躍で打線が好調。投手陣ではエース・マークウェルはもちろんのこと、若手のローデンブルフが頑張っています(2.88 5勝0敗)。先日には、16歳のルアル・フェルケルクが「9番DH」でホーフトクラッセデビューを飾りました。18歳のハルクセン投手もデビューし、若手の台頭が見られます。好調チームにはいいことだらけです。唯一の悩みといえば、昨年の打点王のフェルノーイが試合に出てないことぐらいでしょうか。

 

 2位のキンヘイムは、昨年プレーオフの際、代行監督だったレーミンクが引き続き監督。非常に上手くチームをまとめあげています。特に、1番と9番。1番キャプテンのクレーマーは打率.357、9番センターのドライヤーはチームトップの.364と打線につながりを生むとともに、機動力が使えるようになりました。投手では、昨年まで中継ぎだったスティーブン・ファンフローニンヘンが好投を続けています。防御率1.73、被打率.167。ボイドの途中加入により再びリリーフに戻っていますが、今後も大いに期待できそう。サウスポーのフェルトカンプも既に5勝を上げており奪三振数も30。豊富な先発陣がチームに安定感をもたらしています。




 昨季リーグ戦1位だったL&Dアムステルダムパイレーツ。今年も順調です。現在キンヘイムと同率2位。こちらも投手陣が豊富。今年加入し、WBCの対日本戦でも快投を披露したケヴィン・ヘイステック。防御率は0.56と圧倒的な数字を残していますが、打線に報われず白星を伸ばすことはできていません(3勝2敗)。守護神のユリアン・コックスは14試合に登板し防御率0.60、2勝0敗6セーブと完璧に試合を終わらせています。彼につなげば何とかなると、ほかの中継ぎ陣も安心して自分の仕事が出来ています。得点力の方も抜群。元二刀流選手であり第一回WBC戦士でもあるケニー・ベルケンボスフは打率.408、5番に座り打線を牽引。特に、昨年の本塁打王コノルが怪我で離脱していた時期には、大車輪の活躍でした。長年、パイレーツで頑張ってきた彼が昨年、今年と開花しつつあります。中距離ポイントゲッターとして代表入りを目指して欲しいものです。若手でも、開幕からはセカンドのイェセ・オーセムスが好調で、彼が不調になってからは、ブヨルン・ハトが穴を埋める活躍。こうしたチーム内の競争により全体のチーム力も上がってくるでしょう。




・中間層2チーム

今年、予想以上に頑張っているチームと、頑張れていないチーム。前者はUVVユトレヒト、後者がパイオニアーズである。

 

ユトレヒトは4番のロンブリー、エースのインテマが抜けたことにより、大幅戦力ダウンが予想されました。代わりにチームに加入してきたのはルーキーチームや、二部リーグからの若手が大半です。これといった好成績を残している選手はいませんが、それぞれがしっかりと自分の仕事をしているイメージです。後半戦にかけてひとりでも中軸を担えるような選手、エースになれる選手が出てくれば充分安定した戦いができ、プレーオフも近づくでしょう。先日、代表にも選ばれているチームの核ステイン・ファンデルミールが大学リーグから復帰しました。彼の加入で確実に打線に核ができます。後は、エースの登場を待つだけです。個人的にはファンゼイルに期待しています。

 

イオニアーズは今季、代表にも選ばれるロンブリーとローイが加入しました。打線強化により、上位に食い込んでくると予想していたのですが。やはり、下位のチームには勝てるのですが上位のチームを抑えることのできるような投手陣が不足している印象。絶対的なエースもいない。しかし、先日助っ人獲得の情報が入りました。一昨年間でチームをエースとして引っ張ったオーコインが復帰します。彼の加入によって上位のチームにも勝てるチャンスは増えるでしょう。打線は好調なので課題はそこだけです。




・下位3チーム

 下位の3チームははっきり言ってまだまだです。若手主体のチームとは言え、全く勝てません。

  

 HCAWは初勝利が一番遅かったのですが、この3チームの中では一番白星は多いです。ここは、ほんとに若手が多く、有望な選手や高校代表に選ばれたような選手も多い。しかし、即戦力で使えるほどの選手はいなく、成長を見据えての起用になってきそうです。三塁手のヨーリン・ファンアムステルという選手は、結果は出ていませんが、試合に出続けており首脳陣の期待の高さが伺えます。

 

 今年から一部に昇格したホークスも同じような状況ですかね。昇格したばかりでこれといった補強もしていないので仕方ないといえばそこまでですが。個人的に期待しているのは22歳で4番を打っている、ベリー・ファンドンセラールです。去年から活躍しており、入れ替え戦での活躍を動画で見た限りオランダ人らしい長身で、横にもごつく、飛ばし方を覚えればホームランバッターになる素質を持っていると思います。

 

 ADOは一番悪いチーム状況ですかね。このチーム近年キュラソーから多くの選手を受け入れています。投手野手ともにキュラソー人が多く見られます。しかし、代表に選ばれるような実力の選手はおらず、勝ち星も以前2。期待の選手はティム・スハーレマン。地元ハーグ出身の若手でMLBアカデミーにも参加しました。結果はまだまだですが、彼のような地元の才能ある選手を集めるということを、キュラソーからの受け入れとともに強化していくべきです。

 

 以上が、ホーフトクラッセ前半戦の軽いまとめです。最後に優勝予想を、、、

L&Dアムステルダムパイレーツ。投手陣のコマの多さ、打線の厚み、控えの豊富さなどを見て、これからシーズン、プレーオフを勝ち上がっていくと予想します。