蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

2014ユーロ ~2大会ぶり頂点奪還へ

2014-09-15 23:21:16 の記事です。

 

 2年に1度開かれる、欧州ナンバーワンを決める大会・欧州野球選手権(以降ユーロと表記)。そのユーロが今月12日に開幕してから3試合を消化しています。オランダ代表は過去2大会ともに決勝でイタリアに破れ、準優勝に終わっています。今大会こそはイタリアを撃破し、欧州一の称号を再び手にするのが最大で唯一の目標です。今回はメジャーリーグ傘下などのプロリーグでプレーする選手を9人招集し万全を喫しています。その他15人は国内リーグ・ホーフトクラッセ(以降ホーフトと表記)の選手。特に投手陣はほとんどがホーフトの選手。国内の高い投手力と、キュラソー・アルバの選手たちのパワフルな打撃で相手を圧倒するのがチームスタイル。

 

 ここで、ロースターを確認しておきます。

Pitchers:


Arshwin Ajesアーシュイン・アシェス, David Bergmanダーフィット・ベルフマン, Tom Stuifbergenトム・スタイフベルヘン (all Corendon Kinheim), Mike Bolsenbroekマイク・ボルセンセンブルーク (Regensburg Legion舐e, Germany), Rob Cordemansロブ・コルデマンス, Kevin Heijstekケフィン・ヘイステック, Jurrrian Koksユリアン・コックス (all L&D Amsterdam Pirates), Wendell Floranusヴェンデル・フローラヌス (Rookie League, Baltimore Orioles, USA), Kevin Kellyケフィン・ケリー, Diegomar Markwellディエゴマー・マークウェル and Orlando Yntemaオルランド・インテマ (all DOOR Neptunus).

 

Catchers:


Gianison Boekhoudtジアニソン・ブークハウト (DOOR Neptunus), Dashenko Ricardoダシェンコ・リカルド (Corendon Kinheim) and Shawn Zarragaショーン・サラガ (Double-A/Triple-A, Milwaukee Brewers, USA).

 

Infielders:


Yurendell de Casterユレンデル・デカスター (Broncos de Reynosa, Mexico), Michael Duursmaマイケル・デュルスマ (L&D Amsterdam Pirates), Sharlon Schoopシャーロン・スホープ (Double-A, Baltimore Orioles, USA), Curt Smithクルト・スミス (Double-A, St. Louis Cardinals, USA), Hainley Statiaヘインリー・スタティア (Triple-A/Double-A, Milwaukee Brewers, USA) and Nick Urbanusニック・ウルバヌス (Rookie League/Single-A, Texas Rangers, USA).

 

Outfielders:


Gilmer Lampeジルメル・ランぺ (UVV), Randolph Oduberランドルフ・オデュベル (Single-A/Double-A, Washington Nationals, USA), Danny Rombleyデニー・ロンブリー (Vaessen Pioniers) and Kalian Samsカリアン・サムス (Topco Scientific Falcons, Taiwan).

参考ページ『Grand Slam』(http://catcher.home.xs4all.nl/bb14-1109ek.htm )

 

 

 一目瞭然のように、投手はホーフトの選手が中心。今回先発ローテの中心になってくるのはヘイステック、マークウェル、ボルセンブルーク。この3人は間違いないでしょう。

ヘイステックは今季がアムステルダムパイレーツでの移籍2年目。昨年は一時中継ぎに降格するなど、苦しんだシーズンでした。が、今季はシーズンを通してフル回転。10勝をあげ最多勝を獲得しました。何より、魔球カーブの使い方が向上し、奪三振数が増えたことが成長の証。代表の新エースとしてフル回転が期待されます。

マークウェルは例年通り安定した成績を残しており、ローテを担うのは必至。また、ハーレムに続いてオランダ代表入りしたボルセンブルークは、ドイツで高いパフォーマンスを続けており期待度が高い。他にも大エース・コルデマンス、スタイフベルヘンなどがいますが、ともに故障明けで万全な状態ではありません。予選でのパフォーマンスで起用法は変わってくるでしょう。ホーフトで最優秀防御率を獲得したインテマにはロングリリーフを期待したい。

リリーフ陣にはアシェス、コックス、ケリーが選出。ともにホーフトトップチームのクローザーを務めるアシェスとコックスのどちらかが代表でもクローザーを務めることになるでしょう。特にコックスは2011年ワールドポートトーナメント以来の代表選出。パイレーツへの移籍以来、守護神としてチームを支えてきた男が今度は代表を支える番。決め球の鋭く落ちるスライダーに注目。

 

次に野手陣。前回のWBCに出場していた選手を挙げれば、サムス、スミス、デカスター、デュルスマ、スタティア、オデュベル、リカルドと6人が名を連ねる。破壊力は他の欧州の国と比べたら突出しています。サムス、スミス、ブークハウトが構成するクリーンナップによる長打は言うまでもありません。が、オデュベル、ウルバヌス、デュルスマ、ランぺなど足を使える選手が揃っていることも大きい。強豪相手には長打力だけではなく、彼らの足を使った攻撃も鍵になってきます。

 

近年オランダの穴とされてきた捕手。その穴を埋める存在がサラガです。2011年まで代表の捕手を務めてきたレジェンド、シドニー・デヨングに目をかけられ可愛がられていたのが彼。今季は打撃好調で一時はAAAまで昇格しました。大柄な体格から期待される打撃でもなく、投手に安心感を与える守備にも注目。

 

 

と、これまでロースターから選手らの特徴を述べてきましたが、実はオランダ代表はユーロのための強化大会として、「フランス国際野球~吉田チャレンジ」に参加しました。この大会は元阪神の選手で監督、またフランス代表監督として活躍した経歴を持つ吉田義男氏の尽力により実現した国際大会であります。今回の参加国はオランダ・フランス・ベルギー、そして都市対抗野球の優勝チームである西濃の4チーム。オランダは西濃とベルギーを順調に倒しましたが、フランスに予選でまさかの敗退。決勝ではフランスに雪辱を晴らして優勝しましたが、ユーロでもフランスは侮れません。この大会でのMVPはサムスが獲得。強力打撃陣はなんの不安もなさそうです。一方で課題が残ったのが予選のフランス戦で打ち込まれた投手陣。特に期待のボルセンブルークが7失点と打ち込まれてしまいました。ユーロの予選ラウンドを通して誰が好調なのかしっかり見極めて、決勝ラウンドでの投手起用を模索していかなければなりません。

 

さて、ユーロは既に予選ラウンドの3試合を消化しました。オランダは3連勝中でその全てがコールドゲームという順調ぶりです。

 

【第1戦】


オランダ 19-2 クロアチア 5回コールド

投手:ヘイステック-アシェス-ケリー

本塁打:ブークハウト(1号、2号)、スタティア(1号)、サムス(1号)、スホープ(1号)、

    サラガ(1号)

 

【第2戦】

チェコ 0-7 オランダ 5回コールド

勝投手:マークウェル

ホームラン:スミス(1号)、サムス(2号)

 

【第3戦】

ギリシャ 0-10 オランダ 7回コールド

勝:ボルセンブルーク完全試合達成10奪三振

本塁打:ブークハウト(3号)、デカスター(1号)、スタティア(2号)

 

ボルセンブルーク

 (from Henk Seppen)

 

 

 3試合消化して36得点。格下相手出すので当然かもしれませんが、今回も打線の爆発力は他チームを圧倒しています。球場が狭いことも功を奏しているでしょうが。また、ヘイステック、マークウェルは順調に来ているのと同時に、フランスで結果を出せなかったボルセンブルークが完全試合という最高の形でアピールできたのは非常によかったですね。これから、力のあるチームとあたっていきますので、そうしたチームから点を取るためにいかに脚が使えるか、またいかに先発以降の中継ぎ陣が抑えていけるかがポイントになってくるでしょう。

 

試合前整列

 (from Henk Seppen)