蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

対侍ジャパン 欧州代表オランダ人選手名鑑

2015-02-25 03:31:59 の記事です。

 

普段と同じように、何気なくヤフーを開き、野球のニュースを見ていた。その時、たまたま目に入ってきたのが「欧州野球選手権」という言葉だ。

 「は?欧州?野球?そんな記事書いてる人がいるのか?」

 それが最初の印象。しかし、すぐにWBCでオランダ代表がドミニカ共和国に勝利し、歓喜に沸いている画がフラッシュバックしてきた。

 「そういえばすごく魅力的だったな、オランダ代表。」

 記事を読んでいくとWBCで活躍していた選手の名前が出てくるではないか。
 
 「あいつら、やっぱり普段はヨーロッパで野球やってんだ。」

 ものすごく衝撃的だった。臭い表現だが魂が揺さぶられた、とでも言っておこう。ここから私はオランダ野球の虜になっていくわけだ。
 
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 今回、私をオランダ野球バカに至らしめた『世界の野球』というブログとコラボさせていただきました。来月行われるグローバルマッチで侍ジャパンと対決する欧州代表の名鑑を作るにあたって、お手伝いさせて頂いたのです。
魂がこもったブログです。魂もらえますよ。だからこそ私も今こうしてブログをやっていると思いますし、みなさんも魂揺さぶられると思いますよ(笑)。是非。

 そんなブログに関わることができて、非常に嬉しく思っています。この場を借りて御礼に変えさせていただきます。

 さて、本題です。私は欧州代表のオランダ人選手だけを担当させていただき、名鑑をまとめてみました。読みにくいかもしれませんが、画像も交えてより詳細にまとめました。オランダ以外の国については、是非『世界の野球』さんの方でご確認ください。

写真は全て、交流のあるオランダ人プロスポーツカメラマン、ヘンク・セッペンさんのものを使わせて頂いてます。無断での転載使用等は固くお断りさせていただきます。
※所属チーム横の括弧内は出身地です。キュラソー、アルバはカリブ海に浮かぶオランダ王国構成国の一つ。


【投手】

○ロビー・コルデマンス(Robbie Cordemans) L&Dアムステルダムパイレーツ (オランダ) 投手 右右 40歳

オランダ球界のレジェンド。WBC3度、オリンピック4度出場と、輝かしい経歴を持つ。球速以上に威力のある真っ直ぐと、伝家の宝刀チェンジアップが特徴。2011ワールドカップ決勝ではキューバを八回途中まで2安打1失点で勝利投手。三振も取れる。チェンジアップは抜いた球と落ちる球の二種類を投げ分ける。日本の野球ファンには鳥谷に先頭打者ホームランを打たれたことで記憶されているかもしれないが、それ以降は投球スタイルを多少チェンジ。カーブを有効に使うようになった。ピッチングへの探究心は40歳を超えても大きくなるばかりだ。代表でもチームでも若手へ指導、ノックもこなす。球種はストレート(130前半)、カーブ、チェンジアップ。

Robbie Cordemans


○ディエゴマー・マークウェル(Diegomar Markwell) ロッテルダムネプチューンズ (キュラソー) 投手 左左 34歳

キュラソー出身のオランダ代表の左腕エース。この人も長年代表の主力として活躍している。前回のWBCで韓国戦やキューバ戦の勝利投手だったのも彼。準決勝のドミニカ戦でも中盤までしっかりと試合を作った。スリークォーター気味に投げ込み、スローカーブを効果的に使って打たせてとるスタイル。ロングリリーフもこなす使い勝手のいい投手である。彼の投球術の前には、侍ジャパンも手こずりそうだ。球種はストレート(130後半)、カーブ、スライダー、チェンジアップ。
球速的には日本からすれば脅威にはみえないかもしれないが、13年のWBC日本代表のコーチ陣は王建民よりやっかいな投手という認識だったらしい。

Diegomar Markwell


○ケフィン・ヘイステック(Kevin Heijstek) L&Dアムステルダムパイレーツ (オランダ) 投手 右右 26歳

オランダの次世代エース。2013年はホーフトクラッセ最優秀防御率、昨年は最多勝を獲得。2014の欧州選手権ではエース的な役回りでチームの優勝に貢献した。伝家の宝刀は落差の大きい縦のカーブ。2013WBCでは松田も三振にとった。ストレートは140前後だが、2014年のアメリカンリーグ新人王ホセ・アブレイユ(元キューバ代表、ホワイトソックス)を空振り三振にとったこともある。是非とも日本で見てみたい投手の1人。球種はストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップ。

Kevin Heijstek


○リック・ファンデンハルク(Rick van den Hurk) 福岡ソフトバンクホークス (オランダ) 投手 右右 29歳

現段階でのオランダ、ひいてはヨーロッパ野球最高の投手。代表は2009年WBC以来になる。マーリンズなどMLBで活躍した後、昨年韓国プロ野球三星ライオンズ最優秀防御率最多奪三振を獲得した。今年からはNPB福岡ソフトバンクホークスへ移籍。早くも「隠れエース」との異名をとっている。決め球はナックルカーブ。先発ながら常時150キロを超える真っ直ぐにスライダー、ナックルカーブ、チェンジアップが持ち球。

Rick van den Hurk


○シャーロン・マーティス(Shairon Martis) 前統一ライオンズ (キュラソー) 投手 右右 27歳

若い頃から長年代表を経験してきたキュラソー出身右腕。WBC2回出場、MLBでも26試合登板した。昨年は台湾で28試合8勝7敗の成績を残した。2006WBCのパナマ戦では7回参考記録ながらノーヒットノーランコールドゲーム)を達成した。落ちるスライダーが武器。調子が悪いと球が真ん中に集まる制球難が欠点。球種はストレート、スライダー、チェンジアップ。

Shairon Martis


ルーク・ファンミル(Loek van Mil) 前東北楽天ゴールデンイーグルス (オランダ) 投手 右右 30歳

全世界の野球選手で最高身長の216cm右腕。昨年は楽天で7試合に登板した。角度あるストレートは威力万点で最速は150前半。高速のカッターも投げ込む。ウインイングショットは落差あるスプリットだ。日本では星野監督の指導の下、カーブも覚えた。コントロールは悪くないが、一旦四球を出してしまうと連発してしまう傾向にある。今季は未だ所属チームが決まっていない。本人は日本でのプレーを希望しているので、この2試合がまたとないアピールの場となる。

Loek van Mil


○トム・スタイフベルヘン(Tom Stuifbergen) コレンドン・キンハイム (オランダ) 投手 右右 26歳

オランダの次期エース候補。18歳でミネソタツインズと契約し、オランダ代表でも20歳の頃からプレーした。兄も元オランダ代表の投手。2011ワールドカップでは最優秀防御率に輝き、大会を通じて無失点。1年前にトミージョン手術を受け、昨年1年間はリハビリに費やした。夏、ホーフトクラッセプレーオフで復帰すると、9月の欧州野球選手権ではオランダの優勝に貢献。ムービング系のストレートは重さがあり、WBCではドミニカ共和国オルティスからも三振を取った。落差の大きいスライダーがウイニングショットである。球種はストレート(最速140中盤)、スライダー、チェンジアップ。

Tom Stuifbergen


○オーランド・インテマ(Orlando Yntema) ロッテルダムネプチューンズ (ドミニカ共和国) 投手 右右 28歳

オランダ人の父を持つドミニカ出身の右腕。2010年のインターコンチネンタルカップから代表入り。2011年ワールドカップではキューバ戦に先発し、勝利投手にもなった。昨年はホーフトクラッセ最優秀防御率を受賞、チームの優勝に大きく貢献した。先発も中継ぎもできるパワーピッチャー。130キロ後半の真っ直ぐに縦のスライダーが持ち球。

Orlando Yntema


【捕手】

○ジアニソン・ブークハウト(Gianison Boekhoudt) ロッテルダムネプチューンズ (アルバ) 捕手 右左 25歳

現在のオランダリーグで最高の捕手。2009年にワシントンナショナルズと契約し、3年間アメリカでプレーしたが、2013年からオランダ国内リーグ・ホーフトクラッセへ。器用に外野もこなすことができる。昨年は4番としてチームを引っ張り優勝に貢献、代表でも4番を担うようになった。パワーはさることながら、広角に打ち分けられるバットコントロールも魅力。今回も正捕手だろう。

Gianison Boekhoudt


○ダシェンコ・リカルド(Dashenko Ricardo) コレンドン・キンハイム (キュラソー) 捕手 右右 24歳

守備型キャッチャーで、2013WBCでの正捕手。WBCでは的確なリードでチームをベスト4に導いた。オリオールズジャイアンツの傘下でプレーしたが、課題の打撃がふるわず解雇になり昨年からホーフトクラッセへ。ホーフトクラッセでも打率は上がらず.266だった。恵まれた体格から、当たれば鋭いライナー性の打球を飛ばす。守備では送球に少し難があるようだ。まだ、24歳の選手であり、打撃は伸びしろがある。今回は守備固めとして期待したい。

Dashenko Ricardo


内野手

○マイケル・デュルスマ(Michael Duursma) L&Dアムステルダムパイレーツ (オランダ) 内野手 右右 36歳

長年代表を支えてきたオランダの守備職人でキャプテン。WBC三回、オリンピックも2度経験した。守備力はオランダ国内で突出しており、カリブ領の選手のような派手さはないが非常にエラーの少ない選手。肩も強く、三遊間の深いところからも正確な送球ができる。打撃も以前は力不足であったが、近年は毎年三割を超えており、2012年のハーレムベースボールウィークでは首位打者を獲得した。現在はチームリーダーとして本土、アンティル人の結束をまとめている。

Michael Duursma


○クルト・スミス(Curt Smith) 前セントルイスカージナルス傘下 (キュラソー) 右右 内野手 28歳

広角に打ち分ける中距離ヒッターであり、オランダ代表の主軸。オランダが世界一になった2011年ワールドカップでは3本塁打を放ち、打点王とMVPを獲得。リーチが長くボールを拾って本塁打にするパワーを持ち、大事な場面で打点を稼ぐ勝負強さが特徴である。2013WBCでも5番、6番に座りクリーンナップが残したランナーをしっかりとホームへ帰していた。日本で見たい選手の一人。

Curt Smith


【外野手】

○ユレンデル・デカスター(Yurendell De Caster) ギガンテス (キュラソー) 右右 内野手・外野手 35歳

まだまだ元気なキュラソー出身のベテラン選手。2009WBCではサードで美技を連発し、日本のファンをも驚かせた。元々はダイナミックな守備と鉄砲肩が武器だったが、年を重ねた現在は外野も器用にこなす。バッティングでもパンチ力を秘めており、2009WBCではクリーンナップを打ち、ドミニカ共和国戦でサヨナラ打を放ったのもこの人。ニカラグアウィンターリーグでは打点王を獲得し、老け込む様子は見られない。使い勝手のいい万能選手だ。

Yurendell De Caster


○カリアン・サムス(Kalian Sams) ロッテルダムネプチューンズ (オランダ) 右右 28歳

オランダ行政の中心デンハーグ出身のスラッガー。ワールドカップキューバ戦でのホームラン、欧州選手権でのサイクルヒットなど印象に残るパフォーマンスをする男だ。シアトル・マリナーズ、サンディエゴ・パドレステキサス・レンジャーズの傘下などでのプレーを経て昨年は台湾のポップコーンリーグ(独立と社会人野球の中間のようなリーグ)に在籍した。オランダシリーズ限定でネプチューンズでもプレーし、優勝に貢献。欧州選手権では5番に座り、決勝のイタリア戦でも2本塁打した。ツボにはまった時のパンチ力は素晴らしく、もの凄い飛距離を出す。足も速いが、守備では後方の打球に対するアプローチに難がある。今回も主砲として期待したい。日本の投手の変化球にどこまで対応できるかが鍵になるだろう。

Kalian Sams


アンドリュー・ジョーンズ(Andruw Jones) 前東北楽天ゴールデンイーグルス (キュラソー) 右右 37歳

言わずと知れた、かつてのメジャー二冠王でありゴールデングラブ賞常連のスタープレーヤー。オランダ、キュラソーの野球少年らの英雄であり、現在メジャーリーグで活躍するキュラソー出身のメジャーリーガーは全て彼に影響を受けて野球を始めたといっていい。楽天でも4番として球団初優勝に貢献し、日本でもも馴染みのある選手だ。足や肩は衰えていても、パワーと選球眼は健在。指名打者としてヨーロッパ打線の中核を担う。彼も去就が決まっておらず、日本でのプレーを希望するならば、またとないアピールのチャンスである。

Andruw Jones

All photos were taken by Henk Seppen,who is a pro photographer from The Netherlands.
Thank you Henk. Dank u wel.