他のチームについても多少述べておきます。前期21試合を15勝5敗の3位で通過したコレンドン・キンハイム(ハーレム)はキャプテンとして長年チームを引っ張ってきたルネ・クレーマー(Rene Cremer)と、セカンドのブヨールン・ヘンリクス(Bjorn Henrichs)が引退。これに伴い、ザ・ホークスからオランダ代表にも入っているケフィン・モスキート(Kevin Moesquit)が、また米マイナーからリリースされ、2014年にはU21オランダ代表にも選出されたダドレイ・レオノラ(Dudley Leonora)が加入。マイナー経験のあるキュラソー組の若手が加わり、大幅に布陣が変更しました。主にセカンドにモスキート、ショートにレオノラ。ともに3割近くのアベレージをマークしており、現在の所は昨年に引けを取らない打撃陣が実現しています。主砲、ブライアン・エンゲルハルト(Bryan Engelhardt)も復帰し、ホーフトクラッセ2年目のダシェンコ・リカルド(Dashenko Ricardo)が現在32試合に出場し打率.371、4本塁打、23打点と覚醒。名実ともに“強打の捕手”になりつつあります。侍ジャパン戦で野球ファンの度肝を抜いたエース、トム・スタイフベルヘン(Tom Stuifbergen)も9試合に先発し、防御率1.94、4勝1敗、46奪三振とそこそこの成績は残しています。よほどのことがない限り、このチームも順当にプレーオフに進出してくるでしょう。
(by Henk Seppen)
4位通過したファエッセン・パイオニアーズ(ホーフトドルプ)は元シカゴカブスのプロスペクトのラルス・ハイヤー(Lars Huijer)がアメリカから復帰。10試合に先発し、防御率2.15、6勝2敗、49奪三振。エースとして十分な働きをしています。スペイン代表のヘルナンデスも6勝を上げており、先発陣は安定。打線も元代表のクロースター(Dirk van’t Klooster)、フィンス・ローイ(Vince Rooi)、代表の(Danny Rombley)が中軸を担い、キンハイムから移籍のクインティン・デクーバ(Quinten de Cuba)が打率.325、4本塁打、21打点と活躍。守護神コルネリッセも既に8セーブをあげており、大きな弱点は見つからず。このチームも順当にプレーオフに駒を進めてきそうです。
下位の4チームでは5位にUVV(ユトレヒト)。左右エースが奮闘。右腕ファンゼイル(Jurjen van Zijl)が5勝4敗、防御率1.98。左腕のプルーヘル(Jim Ploeger)も5勝4敗、防御率2.03。昨年も一人奮闘した先発のファンデンブランデンがネプチューンズに引き抜かれているように、彼らも来年は引き抜かれる予感。特に左腕不足は近年オランダ代表の喫緊の課題。プルーヘルは2009年のワールドポートに選ばれているホープ。彼を近い将来オランダ代表で見るのも遠くはないでしょう。 6位は2部から昇格1年目で大奮闘。ネプチューンズからも大金星を挙げた。アムステルダムのルーキーチームから移籍したマイク・フルーン(Mike Groen)が先発に中継ぎに奮闘。防御率は未だ1.75。元アムステルダムのケフィン・へーストマン(Kevin Geestman)がなんと18試合に登板し、防御率0.44、2勝0敗。守護神として大車輪の働きを見せています。のちのちはアムステルダム戻るのではないでしょうか。また、マックス・プルーフストラ(Max Ploegstra)も中継ぎで既に20試合に登板、奮闘中です。打撃陣ではトップバッターのマックス・スミット(Max Smit)、クリーンナップのティノ・ファンエルク(Tino van Erk)がほぼ毎試合に出場し好成績を残し続けています。前者が打率.280、後者が打率.296。両者ともDSSの生え抜きで2部から昇格1年目のチームの主力の成績としてはまさに「御の字」です。課題は長打力。パワーをつけましょう。これからに期待の若手がたくさんいる楽しみなチームです。
7位はHCAWバッセッム。若いチームがさらに若くなった今季は苦戦。ベテラン勢も苦戦。8位は昨年同様マンパエイ・ザ・ホークス。キュラソーから助っ人を多数補強するも、打線、投手陣ともに低迷。下位4チームの中でも明らかにチーム力が劣っています。プレーダウンを勝ち抜くためにいは、補強が不可欠ではないでしょうか。
(2)ワールドポートトーナメント2015のオランダ代表発表
オランダ主催で2年に1度開かれる国際大会。今年に出場国はオランダ、キュラソー、日本、キューバ、台湾。
投手 (11)
Arshwin Asjesアーシュイン・アシェス,
Tom Stuifbergen トム・スタイフベルヘン(both Corendon Kinheim),
Mike Bolsenbroek マイク・ボルセンブルーク(Regensburg Legionare, Germany),
Rob Cordemansロブ・コルデマンス,
Kevin Heijstek ケフィン・ヘイステック(both L&D Amsterdam Pirates),
Bayron Cornelisseバイロン・コルネリッセ (Vaessen Pioniers),
Berry van Drielベリー・ファンドリール,
Kevin Kellyケフィン・ケリー,
Diegomar Markwellディエゴマー・マークウェル, Loek van Milルーク・ファンミル
Orlando Yntemaオーランド・インテマ (all Curacao Neptunus).
捕手 (3)
Gianison Boekhoudtジアニソン・ブークハウト (Curacao Neptunus),
Quintin De Cubaクインティン・デクーバ (Vaessen Pioniers)
Dashenko Ricardoダシェンコ・リカルド (Corendon Kinheim).
内野手 (6)
Michael Duursmaマイケル・デュルスマ,
Nick Urbanusニック・ウルバナス (both L&D Amsterdam Pirates),
Dwayne Kempデゥエイン・ケンプ,
Stijn van der Meer ステイン・ファンデルミール(both Curacao Neptunus),
Dudley Leonoraダッドレイ・レオノラ
Kevin Moesquitケフィン・モスキート (both Corendon Kinheim).
外野手 (4)
Shaldimar Daantjiシャルディマー・ダーンティ, Christian Diazクリスティアン・ディアス (both Curacao Neptunus),
Gilmer Lampeジルマール・ランペ (UVV)
Danny Rombleyデニー・ロンブリー (Vaessen Pioniers).
Coaching Staff
Steve Janssenスティーフ・ヤンセン (監督),Sidney de Jongシドニー・デヨング (Bench Coach),
Evert-Jan ‘t Hoenエフェルト-ヤン・エトゥーン (1B Coach),
Ben Thijssenベン・セイセン (3B Coach),
Mike Hartleyマイク・ハートリー (Pitching Coach)
Wim Martinusヴィム・マルティナス (Bullpen Coach).
簡単に今回の選考についての感想を述べておきますと、長距離砲がいないなあ、と。今季はホーフトクラッセでもホームラン争いが例年に比べて本数が少ないのは否めない。それでも、コイツがいれば4番は安心して任せられるというような選手がいないのが実状でしょうか。具体的にいえば、フェルノーイが入ってないのが驚き。また、シーズンで好成績を維持しているドライヤーはセーフティバントなど機動力を使える万能選手。代走や守備固めでも使える筈。彼が入らないのは個人的に長年の謎です。 また、今季はヴァルドやプルーヘルなど左腕投手が数名台頭してきているのにも関わらず、左はマークウェルのみ。この大会は国内で使えそうな選手を試すための国際大会の筈。今回の先行に対しても日本からではありますが苦言を呈しておきます。 まあ、文句ばかり言ってても仕方ないので注目選手を上げておきます。一人はクラブ欧州一を決めるヨーロッパカップ2015でMVPに輝いたステイン・ファンデルミール。現在はアメリカのラマー大学でもプレーし虎視眈々と来年のメジャードラフトでメジャー球団との契約を勝ち取ろうと奮闘しています。大学では3番を担い、チームの中軸に。ネプチューンズでは1番としてチームの得点源になっています。アクロバティックな守備も特徴で、キュラソーの内野陣にも対抗できるオランダの選手としてこれからの成長が期待できる選手です。この大会でもMVPを期待しましょう。