蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

WPT 2015 オランダ 初戦 vs チャイニーズ・タイペイ

7月18日(土) 初戦 vs チャイニーズ・タイペイ

チャイニーズ・タイペイ 5-6 オランダ
勝:バイロン・コルネリッセ(オランダ) 負:ENG Shih Ying(チャイニーズ・タイペイ

オランダ先発メンバー
1・サード ドゥウェイン・ケンプ(キュラソーネプチューンズ
2・ショート スタイン・ファンデルメールキュラソーネプチューンズ
3・ライト ダニー・ロンブリー(ファエッセン・パイオニアーズ)
4・DH ジアニソン・ブークハウト(キュラソーネプチューンズ
5・キャッチャー ダシェンコ・リカルド(コレンドン・キンヘイム)
6・レフト クリスティアン・ディアス(キュラソーネプチューンズ
7・ファースト ダドリー・レオノラ(コレンドン・キンヘイム)
8・セカンド ケフィン・モスキート(コレンドン・キンヘイム)
9・センター シャルディマー・ダーンチ(キュラソーネプチューンズ
ピッチャー ロブ・コルデマンス(L&Dアムステルダム・パイレーツ)

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2015年最初の国際大会、ワールドポートトーナメント。初戦の相手はチャイニーズ・タイペイ(以下タイペイ)。タイペイは先日の韓国・光州のユニバーシアード優勝メンバーや、昨年のハーレムベースボールウィークメンバーが勢揃い。国際舞台が豊富なチーム構成です。

今回のWPTメンバーの多くが11月のプレミア12で出るであろうオランダとしては、なんとしてでも今大会に勝ち、少しずつチームワークとコンディションを上げて行きたいところ。

土曜日の夕方という事で、会場もほぼ満員。特にタイペイチームの応援団が凄く、100人以上の方が応援に駆けつけていました。ヨーロッパ野球では異例の事です。普段のヨーロッパ野球では決して聞く事のない「加油」の大合唱は、このWPTが国際大会である事を感じさせる一幕でした。

オランダの先発はロブ・コルデマンス。国際舞台の第一試合は必ずといっていい程先発するオランダ球界のレジェンド。その序盤は投球が安定しませんでした。ストライクは入るものの全て甘いコース。ボールははっきりと外れ、タイペイチームに見極められている様子。そのタイペイチームも積極的に振ってくるので、序盤4回で4失点。悪い時のコルデマンスが出ていました。

決して球威があるタイプではないので、その上制球力が無くなるとどうにもならなくなるピッチャー。しかしその後、立て直す上手さはやはりベテラン。結局失点した2、3、4回以外は1本のヒットも許すことなく、8回5安打4失点で降板。しっかりと先発の役目を終えました。

しかしタイペイ先発のWANG Tsung Haoも好投。迫力に欠けるオランダ打線を5回2失点で試合を作ります。その次のLIN Wei Chihも2回を好投、4–2と2点リードの8回からはTSAI Wei Fanが登板し、完全に試合を締めに入りました。

9回2アウトからクリスティアン・ディアスを1塁に置いて、打席にはこの日8番セカンドで出場のケフィン・モスキート。このモスキートがまさかのツーランホームランをレフトスタンドにかっ飛ばし、敗戦目前からまさかの同点。

延長に突入した10回は両チームとも無失点に抑えます。11回からは0アウト1、2塁から始まるタイブレーク。その11回に9回からマウンドに上がっていたルーク・ファンミルが失点を許しました。2アウトまではなんとかこぎ着けたものの、5番LIN Hanにライト線に運ばれ1失点。今シーズンは1度も投げていない3イニング目に入った時、若干嫌な予感はしていました。シーズンでは圧倒的なパフォーマンスを見せているのでそのまま投げさせたのでしょうが。ブルペンにも数名投げていたので、無理せず継投をすれば良かったのに…と思いました。

失点した直後、11回裏のオランダの攻撃は、2アウト1、2塁から前の打席ホームランのモスキートが敬遠。2アウト満塁と再びしびれる場面が用意されました。打席には9回から代打で出場していたギルマー・ランプ。オランダリーグ、ホーフトクラッセの下位4チームから選出された唯一の野手、快足自慢の有望株です。満塁で回って来たランプは、しっかりとボールを見極め四球。押し出しで再度同点に追いつき11回を終えます。

12回表、オランダのマウンドにはバイロン・コルネリッセ。エラー絡みで3塁までランナーを進ませたものの若手らしい力強い投球でねじ伏せ無失点。タイブレークという形式上、この時点でほとんどオランダの勝ちは決まったような雰囲気でした。

そしていよいよ決着の時が訪れます。1アウトの3塁にランプ、1塁にスタイン・ファンデルメールを置いて35歳ベテラン、3番ライトで先発のダニー・ロンブリー。
彼の仕事は一つ、フルスイングで外野に飛ばす事。少し浅かったものの、なんとか左中間にフライを打ち上げ、快速のランプがタッチアップで生還。見事サヨナラ勝ちでオランダが大事な初戦をモノにしました。



総評

なかなかチャンスでタイムリーが出ないオランダ。まず大きいのを打てるバッターが本当に少ない。特に今シーズンの国内リーグはホームランが少なく、トップの選手でも10試合に1本程度。そのリーグの様子がそのまま代表チームにも反映される結果となりました。

この試合の延長の様なタイブレーク形式では極端な話ですが、0アウト1、2塁から2本大きい犠牲フライを打てば点が入ります。この大会メンバーの大半が11月のプレミア12にも出場予定。この大会で打てなければ侍ジャパンや韓国、カリブ国のトップどころは打てないだろうな…と少し先の事ですが不安に感じました。

選手インタビュー

ケフィン・モスキート内野手
「(同点となる本塁打の印象を聞かれて)いい当たりだったよ。低めのカーブだったね。チームの雰囲気も良いし、このまま波に乗って行きたいね。自分の事で言えば、去年のハーレムに続いてのWPTで、オランダ代表経験は浅いけど特に緊張も無いよ。大会は始まったばかりだけど、しっかりとコンディションを整えて次も勝つよ。」

Kevin MOESQUIT WPT2015