蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

WPT 2015 日本 初戦 vs キュラソー

2015-07-22 22:15:30 の記事です。

 

7月18日(土) 初戦 vs キュラソー

キュラソー 2-12 日本
勝:與座 健人(日本) 負:ニック・フェルトカンプ(キュラソー

日本先発メンバー
1・サード 庄野 雄斗 大阪体育大・3
2・レフト 三矢 大将 大阪産業大・3
3・キャッチャー 木村 侑輝 大阪体育大・4
4・ショート 田村 強 大阪体育大・4
5・DH 上田 哲平 関西国際大・3
6・セカンド 木戸地 一希 大阪体育大・4
7・ファースト 原田 和舞 関西国際大・4
8・センター 堅田 啓太郎 大阪体育大・2
9・ライト 小中 悠平 天理大・4
ピッチャー 與座 健人 関西国際大・4

日本の初戦はキュラソー。オランダに詳しい人以外には馴染みの無い名前ですが、オランダ王国の構成国の一つでカリブ海に浮かぶ島国です。ここオランダにはキュラソー出身のオランダ人も多く、野球でもオランダ代表の約半分がキュラソー出身。日本でもお馴染みのウラディミール・バレンティン東京ヤクルト)、アンドリュー・ジョーンズ(前楽天)、MLBの鉄腕ショート、アンドレルトン・シモンズ(アトランタ・ブレーブス)など日米で活躍する選手も数多くいる隠れた人材輩出国です。

日本ではよく、キュラソー出身者が活躍するオランダ代表について「オランダ人でない」など耳にしますが、キュラソーの人は生まれた時からオランダ国籍、立派なオランダ人です。成人してから二重国籍を得たわけではないので、ルーツが違うだけで実質オランダ人ではないと言われる事は、個人的には少し言い過ぎのような気がしています。

少し話が逸れましたが今回はそのキュラソーが単独チームで参加。オランダ代表のキュラソー系選手は皆オランダ国内でプレーする選手。このキュラソー代表はある2名を除いて、全員キュラソー国内でプレーする選手です。

その二人はライリー・レヒト内野手と、ニック・フェルトカンプ投手。どちらも長年オランダ代表で戦った名選手で、現在もオランダ国内でプレーしています。今大会は本国オランダとキュラソーの交流事業も兼ねており、彼ら二人がキュラソー代表として出場する事になりました。今年からここロッテルダムを本拠地にするヨーロッパナンバーワンクラブのロッテルダムネプチューンズが、キュラソーからの資本が入り「キュラソーロッテルダムネプチューンズ」となったようにキュラソーとの交流が加速しています。日本戦では両選手とも4番サード及び先発ピッチャーとして出場しました。

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

日本の先発は與座健人投手。今春リーグでは50イニングに登板、5完投を記録。140キロを超える伸びのある速球を武器に、リーグ最多奪三振を記録。今大会は背番号18を背負い主戦を勤めます。

日本はその與座投手を中心に守りの野球を見せます。1回、2回と立ち上がりに連打を浴び2点を献上するものの、その後は危なげないピッチングを披露。3–5回を被安打2にまとめ、最終的に7イニングを89球で投げきります。

攻撃面では出塁したランナーをキッチリ送り、それが相手のフィルダースチョイスを誘発。記録上はフィルダースチョイスでも、バント安打に近いものも多く、長打は出ないものの確実に得点を積み重ねます。ハイライトは5回裏の攻撃。9番の小中から、1番庄野、2番三矢、3番木村、4番田村と5連打。4点を追加し、2対10とこの時点でほぼ試合が決まりました。

終わってみれば2対12の7回コールド、圧勝で見事初戦を飾りました。

総評

注目の開幕試合を、先発の9人+DHの10人のみで戦い抜きました。相手のキュラソーは攻守共に荒さが目立ちました。また先発の與座投手のピッチングを見る限り、3回以降は危なげなく、早い段階で勝ちが見えました。初戦の戦い方はいつも難しいものですが、この試合の最後、試合が決まってからでも次の日に出る予定のメンバーを出場させても良かった気がします。彼らにとっては経験の少ない国際大会なので、フルスロットルを要求される前に少しでも慣れておけば、と思うからです。

とはいえ、若いチームの良い雰囲気が出た試合でした。この流れに乗って、次のキューバ戦も良い試合になる事を期待します。