蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

プレミア12オランダ代表選手名鑑 最終ロースター

2015-10-19 00:38:54 の記事です。
 
 「オランダ王国」は、みなさんがご存知の「オランダ」とは多少差異があります。   「オランダ」とは「オランダ王国」の構成国の一つに過ぎません。この中には他に、「キュラソー」や「アルバ」「シントマールテン」といったカリブ海の国も加わります。これら4つの国は互いに対等な立場で「オランダ王国」を構成しています。よって、マスメディア等でしばしば「オランダ領」と称される「キュラソー」や「アルバ」は、正確には「オランダ領」ではございません。
※「オランダ」という国の構成地域の一つとしてさらにカリブ海の「ボネール島」「シントユースタティウス島」「サバ島」も存在します。
 日本球界でもお馴染みのバレンティンが前回のWBCにオランダ代表として出場していたのを見て、不思議に思われた方もいるでしょう。つまりWBCオランダ代表は、「オランダ王国」代表だったのです。
 
 ですので野球オランダ代表には人種はまぜこぜです(もちろん「オランダ」にも黒人の方はいます)。オランダ人、キュラソー人、アルバ人などなど、様々な地域で育ち、様々な文化を持ち合わせる選手たちが「オランダ王国」という名のもとに団結し情熱をかけてプレーしているのもオランダ野球の魅力の一つです。
 また、彼らの中にはオランダ国内リーグホーフトクラッセセミプロとして活躍する選手。はたまた、アメリカのMLB傘下でプロとして活躍する選手が存在します。こうした異なる舞台、レベルでプレーする選手たちが一堂に会して優勝を目指すのはなんともロマンがあることです。

 今回、オランダ代表はユニフォームのデザインに微修正を加えました。今まではオランダを意味する「NEDERLAND(ネーデルランド)」と胸に表記していました。が、今回の修正で「Kingdom of the Netherlands(オランダ王国)」とし、キュラソーやアルバなども含めた意味にしました。

 選手もさることながら、コーチ人の顔ぶれも「地域色」豊かです。監督がMLB日本、韓国でもプレーした「キュラソー」人のヘンスリー・ミューレンス。ヘッドコーチがベルギーからキャリアを求めて「オランダ」に渡ったスティーフ・ヤンセン。打撃コーチが「オランダ」球界のレジェンド、シドニー・デヨング。1塁コーチ、3塁コーチがそれぞれ「キュラソー」のベン・タイセン、「アルバ」のヴィム・マルティナス。「オランダ王国」総出のコーチング体制が築かれています。もちろんそれは代表候補の選手たちもそのような構成になっているからです。

※ホーフトクラッセ選手は現地取材プロスペクトの選手の特徴などは、プロスペクトに精通する方にも協力を得ています。
※選手の写真はオランダのプロカメラマンの方から許可を頂いて使用しています。無断での使用・転載は固くお断りします。
※情報の無断での転載、使用は固くお断りします。ご連絡はnlhonkbaljapan @ gmail.comまで。(スペース削除)

All photos were taken by Henk Seppen. Thank you Henk.

【例】
○名前日本語/ローマ字 身長/体重 生年月日 年齢
所属チーム ※レギュラーシーズン最終所属先 投打 「出身地」

【投手】
○ロビー・コルデマンス/Rob Cordemans 190cm/93kg 1974年10月31日41歳
L&Dアムステルダム・パイレーツ(オランダ国内) 右右 「オランダ」

オランダ球界のレジェンド。WBC3度、オリンピック4度出場と、輝かしい経歴を持つ。球速以上に威力のある真っ直ぐと、伝家の宝刀チェンジアップが特徴。2011ワールドカップではキューバを八回途中まで2安打1失点で勝利投手。三振も取れる。チェンジアップは抜いた球と落ちる球の二種類を投げ分ける。日本ファンには鳥谷に先頭打者ホームランを打たれたことで記憶されてるかもしれないが、それ以降は投球スタイルを多少チェンジ。カーブを有効に使うようになった。それが功を奏してか、今年春の対侍ジャパン戦では先発して2回をきっちりと零封した。ピッチングへの探究心は40歳を超えても大きくなるばかりだ。代表でもチームでも若手へ指導、ノックもこなす。球種はストレート(130前半)、カーブ、チェンジアップ。
13試合6勝2敗 防御率0.84 奪三振79
1.Rob Cordemans

○ディエゴマー・マークウェル/Diegomar Markwell 188cm/88kg 1980年8月8日35歳
キュラソーロッテルダムネプチューンズ(オランダ国内) 左左 「キュラソー

オランダの左腕エース。コルデマンスと同じく長年代表の主力として活躍している。WBCで韓国戦やキューバ戦の勝利投手だったのも彼。世界一のドミニカ戦でも中盤までしっかりと試合を作った。侍ジャパン首脳陣も彼を一番警戒していたという話もあり、メッツなどの複数のメジャー球団が彼に興味を示した。スリークォーター気味に投げ込み、スローカーブを効果的に使って打たせてとる。ロングリリーフもこなす使い勝手のいい投手だ。彼の投球術の前には、侍ジャパンも手こずりそうだ。球種はストレート(130中後半)、カーブ、スライダー、チェンジアップ。
12試合9勝2敗 防御率2.06 奪三振54
2.Diegomar Markwell

○ケフィン・ヘイステック/Kevin Heijstek 193cm/97kg 1988年4月19日27歳
L&Dアムステルダム・パイレーツ(オランダ国内) 右右 「オランダ」

オランダの次世代エース。2013年はホーフトクラッセ最優秀防御率、昨年は最多勝を獲得。2014ユーロではエース的な役回りでチームの優勝に貢献した。伝家の宝刀は落差の大きいカーブ。2013WBCでは松田も三振にとった。ストレートは140前後だが、キューバ人で2014MLB新人王のアブレイユやロッテのデスパイネを空振り三振にとったこともある。現在では段々と代表内での位置づけも上がってきており、2014年ユーロではローテで周り準決勝にも登板。是非とも日本で見てみたい投手の1人。プレミア12でも先発ローテに割って入りたい。球種はストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップ。
13試合9勝1敗 防御率1.32 奪三振69
3.Kevin Heijstek

○マイク・ボルセンブルーク/Mike Bolsenbroek 203cm/95kg 1987年3月11日28歳
ブッフビンターレーゲンスブルク・レギオネーレ(ドイツ国内) 右右 「オランダ」

ドイツ代表経験もある異色なオランダ人右腕。18歳でオランダ・ホーフトクラッセでデビューを果たす。ホワイトソックスにドラフト指名されるも断り、ドイツの強豪レギオネーレへ。翌年ドラフト外フィリーズとの契約を掴む。3年間マイナーでプレーするもリリースされ、次の活躍の舞台として選んだの再びドイツだった。レギオネーレのエースに成長し、2012年のWBC予選ではドイツ代表として出場した。しかし、彼の活躍を嗅ぎつけたオランダ野球連盟は彼にオファーをかけた。2014年のハーレムベースボールウィーク(オランダ主催の国際大会)では初めてオランダ代表入りした。また、その年の欧州野球選手権ではローテを守り、ギリシャ戦で7回ノーヒットノーランの活躍でMVP候補にもなった。今季のワールドポートトーナメント、キューバ戦でも勝利投手になった。この大会でも先発ローテの一角として期待される。
ストレートは常時140キロ中盤を誇り、落ちる球で三振をとる本格右腕だ。
4.Mike Bolsenbroek

○ヤイアー・ユーエンス/Jair Jurrjens 185cm/90kg 1986年1月29日29歳
フリーエージェント 右右 「キュラソー

アトランタブレーブスでメジャーリーガーとして活躍した投手。今回はエース格か。2009年には14勝を挙げ、通算でも53勝。2011年5月には月間MVPを獲得し、オールスターにも選出された。現在のオランダ球界では最も輝かしい経歴を持つ投手だ。今シーズンはコロラド・ロッキーズと契約しメジャーにも復帰したが、結果を残せず降格。そのまま解雇になってしまった。ストレートは140中盤だがスライダーなどを低めに制球し、ゴロを打たせていく。高めの釣り玉などを使い三振も取れる。メジャー時代の輝きをオランダ代表で取り戻せるか。

ユアン・カルロス・スルバラン/Juan Carlos Sulbaran 188cm/99kg 1989年11月9日25歳 カンザスシティ・ロイヤルズ傘下(AAA) 右右 「キュラソー

何度もオランダ代表に入っているプロスペクト。今年はAAAまで昇格した。2009WBCではアメリカの強打者たちに強気のピッチングを披露していた。だが、その後の代表では2012年のユーロで打ち込まれたりとあまり活躍できていない。特徴はストレート、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。ここ2年ほどで磨きがかかってきた。球速は140中盤ほどであるが、それゆえ力で押そうとすると打ち込まれる場面も。今大会は先発かロングリリーフ、2つの役割が期待される。
28試合7勝10敗 防御率5.24 奪三振99
6.Juan Carlos Sulbaran

○シャイロン・マーティス/Shairon Martis 185cm/102kg 1987年3月30日28歳
リンカーン・ソルトドッグス(米独) 右右 「キュラソー

若い頃から長年代表を経験してきた右腕。WBC2回出場、MLBでも26試合登板した。昨年は台湾で28試合8勝7敗の成績を残した。2006WBCでは7回参考記録ながらノーヒットノーランを達成した。落ちるスライダーが武器。調子が悪いと球が真ん中に集まる制球難が欠点。ここ数年は急速が目に見えて落ちており、侍ジャパンとのグローバルマッチ第1戦で敗因となったピンチを作ったのはこの人。球種はストレート、スライダー、チェンジアップなど。
7.Shairon Martis

ルーク・ファンミル/Loek ven Mil 216cm/120kg 1984年9月15日31歳
キュラソーロッテルダムネプチューンズ(オランダ国内)、ミネソタ・ツインズ傘下(AAA) 右右 「オランダ」

全世界の野球選手で最高身長の216cm右腕。昨年は楽天で7試合に登板した。角度あるストレートは威力万点で最速は150前半。高速のカッターも投げ込む。ウインイングショットは落差あるスプリットだ。日本では星野監督の指導の下、カーブも覚えた。コントロールは悪くないが、一旦四球を出してしまうと続けて出してしまうこともある。今シーズンはホーフトクラッセネプチューンズに復帰し、守護神を務め防御率は圧巻の0.36。オランダ主催の国際大会にキューバ目当てで訪れていたツインズスカウトの目にとまり、アメリカに復帰。AAAで3試合に登板し、見事無失点に抑えた。アメリカから帰国後は、ネプチューンズとキンハイムによるオランダシリーズで胴上げ投手となった。
19試合2勝1敗6S 防御率0.36 奪三振31
8.Loek ven Mil

○トム・スタイフベルヘン/Tom Stuijfbergen 190cm/115kg 1988年9月26日27歳
コレンドン・キンハイム(オランダ国内) 右右 「オランダ」

オランダの次期エース候補。18歳でミネソタツインズと契約し、オランダ代表でも20歳の頃からプレーした。兄も元オランダ代表の投手。2011ワールドカップでは最優秀防御率に輝き、大会を通じて無失点だった。1年前にトミージョーン手術を受け、昨年1年間はリハビリに費やした。夏、ホーフトクラッセプレーオフで復帰すると、9月の欧州野球選手権では、決勝のイタリア戦で1アウト満塁の場面をリリーフし2者連続三振。オランダの優勝に大きく貢献。ストレートは重さがあり、WBCではドミニカ共和国オルティスからも三振を取った。侍ジャパンとのグローバルマッチ第2戦ではフォーシームとツーシームのコンビネーションのみで、嶋と山田哲人を2者三振にとり、最後を締めた。落差の大きいスライダーをウイニングショットにもできる。今シーズンも幾度となく軽度の故障を繰り返したため、大会期間中も故障が心配される。球種はフォーシーム(最速150弱)、ツーシーム、スライダー、チェンジアップ。
12試合4勝1敗 防御率1.81 奪三振49
9.Tom Stuijfbergen

○ベリー・ファンドリール/Berry van Driel 193cm/90kg 1984年12月26日31歳
キュラソーロッテルダムネプチューンズ(オランダ国内) 右右 「オランダ」 リリーファ

「オランダ」のリリーフエース。2014年オランダシリーズのMVPにもなった。最速140キロ代後半を誇るストレートはキューバの強打者も振り遅れてしまう。近年は成績が落ち着いてきてはいたものの、昨年後半に始めて先発を経験し、先発に適用。アムステルダムとのオランダシリーズでは王手をかけられた2試合に先発し、どちらの試合でも勝ち投手になった。カウントを稼ぐスライダーとともに、決め球には落差あるスプリットも使う。今季は怪我の影響もあり、少し不調だった。
17試合2勝2敗 防御率4.81奪三振26
10.Berry van Driel

○オーランド・インテマ/Orlando Yntema 190cm/81kg 1986年2月21日29歳
キュラソーロッテルダムネプチューンズ(オランダ国内) 右右 「ドミニカ共和国

オランダ人の父を持つドミニカ出身の右腕。2重国籍。2010年のインターコンチネンタルカップから代表入りした。昨年はホーフトクラッセ最優秀防御率を受賞、チームの優勝に大きく貢献した。先発も中継ぎもできるパワーピッチャー。重いストレート、落ちるスライダーが特徴。このスライダーの出来次第でこの投手の調子が左右されると言っても過言ではない。2011ワールドカップではスライダーが低めにことごとく決まり、キューバ戦で勝利投手になった。ストレートは140前後。
15試合8勝2敗 防御率2.86 奪三振77
11.Orlando Yntema

○イム・プルーヘル/Jim Ploeger 190cm/102kg 1991年6月21日24歳
UVV(オランダ国内) 左左 「オランダ」 リリーファ

今シーズンからオランダホーフトクラッセに復帰した若手左腕。2009年にはオランダ野球ソフト協会の最優秀若手投手賞を受賞し、同年には早くもワールドポートトーナメントにて代表入りしていた。その後は一度も選出されず、その間2011~2014年はアメリカの大学でプレー。復帰した今季はBクラスのチームで一際目立った活躍をして、再びワールドポートトーナメントで代表へ復帰した。長年のオランダ代表の課題である左腕投手の不足に彼が穴を埋めることができるのか。何より目立つのが奪三振数。
14試合5勝5敗 防御率2.39 奪三振76
Jim Ploeger

バイロン・コルネリッセ/Bayron Cornelisse 1993年11月4日22歳
ファエッセン・パイオニアーズ(オランダ国内) 右右 「オランダ」 クローザー、リリーファ
14.Bayron Cornelisse

2012年、パイオニアーズにて19歳でデビュー。ルーキーイヤーに19試合に登板し防御率0.00、3勝1敗8セーブの成績で守護神の座を掴んだ若武者だ。2009年彼が野球アカデミーに参加した時のコーチが、以前オランダ代表のクローザーとして活躍していたポール・アネ。パイレーツやパイオニアーズでコーチの経験があるアネから、クローザーとしての技を教え込まれた彼もクローザーを目指すようになった。福岡ソフトバンク森唯斗のように思い切りよく投げ込んでくる。落ちる高速スライダーも武器。数年前にはメッツのスカウトが興味を示していたとの噂も、、、オランダ主催の国際大会では、代表でクローザーを任されるようになっており、マイナー選手も加わる今回の代表でどこまで存在感を示せるか期待だ。
23試合1勝3敗9S 防御率3.28 奪三振21

【捕手】
○ショーン・サラガ/Shawn Zarraga 182cm/111kg 1989年1月21日26歳
ロサンゼルス・ドジャース傘下(AAA) 右両 「アルバ」

現在のオランダ球界ではナンバーワン捕手。20v10年のIBAFインターコンチネンタルカップでオランダ代表に初選出。その後は2011ワールドカップ、2014ユーロ選手権で代表に選ばれている。2010、2011の代表の際は、当時の正捕手で現打撃コーチのシドニー・デヨングに才能を見込まれ、打撃からキャッチングに至るまでみっちり指導を受けた。プロ入り前には全世界の若武者がホームラン競争を行うパワーショーケースで長打力を見せつけた。近年はその長打力は少し影を潜めているが、両打席からシュアな打撃でコンスタントにヒットを放つ。2014ユーロではしっかりと投手陣をリード。今大会でも、正捕手として守備から打撃まで広範囲の活躍が期待される。
62試合 打率.286 本塁打1打点18 OPS.710
16.Shawn Zarraga

○ジアニソン・ブークハウト/Gianison Boekhoudt 182cm/93kg 1989年10月15日25歳
キュラソーロッテルダムネプチューンズ(オランダ国内) 右左 「アルバ」

今季のホーフトクラッセ本塁打王。2009年にワシントンナショナルズと契約し、3年間アメリカでプレーしたが、2013年からオランダホーフトクラッセへ。器用に外野もこなすことができる。昨年は4番としてチームを引っ張り優勝に貢献、代表でも4番を担うようになった。パワーはさることながら、広角に打ち分けられるバットコントロールも魅力。今季は率を下げたものの、長打力は健在で初の本塁打王に。欧州のクラブ選手権であるヨーロッパカップの第1戦でも3点本塁打を放った。ここぞの場面でも代打などの起用が予想される。
42試合 打率.277 本塁打8 打点42 OPS.886
17.Gianison Boekhoudt

○ダシェンコ・リカルド/Dashenko Ricardo 182cm/93kg 1990年3月1日25歳
コレンドン・キンハイム(オランダ国内) 右右 「キュラソー

守備型キャッチャーで、2013WBCでの正捕手。WBCでは的確なリードでチームをベスト4に導いた。オリオールズジャイアンツでプレーしたが、課題の打撃がふるわず解雇になり昨年からホーフトクラッセへ。2014年はホーフトクラッセでも打率は上がらず.266だった。が、今季は一転。打撃が開花し、リーグ2位の打率を残した。痛めていた肘も少しずつ回復に向かっているようで、盗塁阻止率は.390。今大会ではサラガのバックアップとして、守備固めとしての起用が予想される。
42試合 打率.420 本塁打4 打点40 OPS.1050
18.Dashenko Ricardo


【内野】
○クルト・スミス/Curt Smith 177cm/95kg 1986年9月9日29歳
リンカーン・ソルトドッグス(米独) 右右 「キュラソー」 ファースト

広角に打ち分ける中距離ヒッターであり、代表のオランダ代表の主軸。2011年ワールドカップでは3本塁打で、打点王とMVPを獲得。リーチが長くボールを拾って本塁打にするパワーを持ち、大事な場面で打点を稼ぐ勝負強さが特徴である。2013WBCでも5番、6番に座りクリーンナップが残したランナーをしっかりとホームへ帰していた。例えるとイ・ボムホか。今春の侍ジャパンとのグローバルマッチでも来日し、藤波ら日本の投手から初戦は3安打の固め打ち。彼のコンパクトで無駄のないスイングは秋山幸二中畑清をも唸らせた。
87試合 打率.294 本塁打12 打点61 OPS.850
20.Curt Smith

○ユレンデル・デカスター/Yurendell de Caster 182cm/97kg 1979年9月26日37歳
カンペチャ・パイレーツ(メキシコ国内) 右右 「キュラソー」 サード、セカンド、ファースト、外野

まだまだ元気なベテラン選手。2009WBCではサードで美技を連発し、日本のファンをも驚かせた。ダイナミックな守備と鉄砲肩が武器だが、年を重ねた現在は外野も器用にこなす。バッティングでもパンチ力を秘めており、2009WBCではクリーンナップを打ち、ドミニカ共和国戦でサヨナラ打を放ったのもこの人だ。2014年のニカラグアウィンターリーグでは打点王を獲得し、老け込む様子は見られない。侍ジャパンとのグローバルマッチで、彼が松葉投手から放った3点本塁打を覚えていらっしゃる方も多いはずだ。使い勝手のいい万能選手である。
21.Yurendell de Caster

○ドゥエイン・ケンプ/Dwayne Kemp 172cm/72kg 1988年2月24日27歳
キュラソーロッテルダムネプチューンズ(オランダ国内) 右右 「オランダ」 セカンド、ショート、サード

19歳からオランダホーフトクラッセで活躍する、オランダ国内の人気選手。尊敬する選手はロビンソン・カノー。20~21歳の2年間はカブス参加のRk、Aでプレーし、経験を積んだ。普段はセカンド、ショートで軽快なフィールディングを見せる。2011ワールドカップではレフトも担い器用なところを見せたが、見てる方は冷や汗をかいてしまうようなぎこちない身のこなしだった。小柄ながらパンチ力も秘めており、セーフティバントなどで相手を揺さぶることも可能だ。盗塁も20マーク。
40試合 打率.368 本塁打2 打点23 OPS.907
22.Dwayne Kemp


○シャーロン・スホープ/Sharlon Schoop 188cm/86kg 1987年4月15日28歳
ボルティモア・オリオールズ傘下(AAA) 右右 「キュラソー」 ショート、サード

メジャーリーガーであるヨナサン・スホープの兄。2009WBCから代表入りし、2011ワールドカップでは弟と並んで6番、7番に座り優勝に貢献した。その大会の準決勝韓国戦では逆方向に3点本塁打を放ったような長打力もある。昨年のユーロでも代表入りし、ショートを務め、守備面でも高い能力を見せる。下位、または代打での勝負強い打撃に期待したい。
80試合 打率.219 本塁打15 打点62 OPS.543
25.Sharlon Schoop

○カールトン・ダール/Carlton Daal 187cm/72kg 1993年8月1日22歳
シンシナティ・レッズ傘下(A+)  右右「キュラソー」 ショート

レッズのプロスペクトランキング25位以内に入る内野手。21盗塁の瞬足に加え、軽快なフィールディングがスカウト陣の高評価を得ている。今季はセカンドを守っているようだが、将来的にはショートに移るようだ。課題は非力。プロ入り後、本塁打はまだ1本で、高いレベルの速球についていけるパワーを備えなければならない。
112試合 打率.270 本塁打0 打点30 OPS.597


○ジアンフランコ・ヴァウー/Gianfranco Wawoea 180cm/77kg 1994年7月25日21歳
シアトル・マリナーズ傘下(A) 右右 「キュラソー」 セカンド、ショート、外野

パンチ力が持ち味のホープ。今春のマリナーズのメジャーキャンプに初参加し、始めてAAにも昇格した。今季8本塁打を放ち長打力の片鱗を見せた。また、ノーヒットノーランを続けていた相手投手から均衡を破る安打も放っている。守備ではセカンドを中心にショート、サード、外野も守るユーティリティプレーヤーだ。代打などで使えば、意外性を発揮し面白そうだ。
98試合 打率.266 本塁打8 打点28 OPS.710


○ヘンリー・スタシア/Hainley Statia 178cm/82kg 1986年1月19日 29歳
フリーエージェント 右両 「キュラソー」 セカンド、ショート

WBCに2大会も出場したスイッチヒッター。長年オランダ代表の二遊間をはってきた選手だ。2009年WBCではショートとして軽快なフィールディングで投手陣を支えた。昨年のユーロでもセカンドとして常時出場し、打撃でも高い出塁率でチームに得点をもたらした。近年はチーム事情などを考慮し、時たま外野にも挑戦しており、ユーティリティプレーヤーとしてフルに働いてくれそう。2014年はAA-AAAでプレーしたものの、今季はプレーした形跡が見当たらず、それが一つ心配だ。
30.Hainley Statia


【外野】
○カリアン・サムス/Kalian Sams 188cm/112kg 1986年8月25日29歳
ケベック・キャピタルズ(加独) 右右 「オランダ」

オランダ行政の中心デンハーグ出身のスラッガー。ワールドカップキューバ戦でのホームラン、ユーロでのサイクルヒットなど印象に残るパフォーマンスをする男だ。シアトルマリナーズやサンディエゴパドレステキサス・レンジャーズ傘下などでプレーしたが、昨年は台湾ポップコーンリーグにてプレーした。オランダシリーズ限定でネプチューンズでもプレーし、優勝に貢献した。欧州野球選手権では5番に座り、決勝のイタリア戦でも2本塁打した。ツボにはまった時のパンチ力は素晴らしく、もの凄い飛距離を出す。足も速いが、守備では後方の打球に対するアプローチに何がある。今回も主砲として期待したい。
彼も今春の侍ジャパンとのグローバルマッチで来日し、二塁打や犠牲フライでチームに貢献した。
84試合 打率.284 本塁打16 打点68 OPS.1.215
28.Kalian Sams

アンドリュー・ジョーンズ/Andruw Jones 185cm/101kg 1977年4月23日38歳
フリーエージェント(前東北楽天ゴールデンイーグルス) 右右 「キュラソー

言わずと知れた、かつてのメジャー二冠王でありゴールデングラブ賞常連のスタープレーヤー。オランダ、キュラソーの野球少年の英雄であった。楽天でも4番として球団初優勝に貢献し、日本人にも馴染みのある選手だ。足や肩は衰えていても、パワーと選球眼は健在だ。WBCにも2度オランダ代表として出場しており、2013大会では主軸としてチームをベスト4に導いた。今季はどこにも所属せず、プレーもしていないが、バレンティンと共に代表でプレーするのを楽しみにしていたようだ。1年のブランクをどこまで埋められるかが鍵だ。
29.Andruw Jones

ランドルフ・オデュベル/Randolph Oduber 191cm/86kg 1989年3月18日26歳
ワシントン・ナショナルズ傘下(AA) 左右 「アルバ」

右打席から内野安打を生み出すほどの快速。その足を生かした守備範囲の広さも魅力だ。2013WBC戦士であり、怪我人の影響でスタメンにも周り、キューバ戦では彼の足を活かした機動力でキューバの守備をかき乱した。昨年のユーロの際には一回り身体が大きくなっており、長打力が増し、イタリアとの決勝でも効果的な本塁打を放った。今回も彼の機動力はチームの大きな武器なってくると思われ、レギュラーを取って欲しい選手。今季序盤に怪我した箇所が心配だ。
7試合 打率.188 本塁打0 打点2 OPS.503
31.Randolph Oduber


ウラディミール・バレンティン/Wladimir Balentien 188cm/100kg1984年7月2日31歳
東京ヤクルトスワローズ 右右 「キュラソー

言わずと知れた日本プロ野球シーズン最多本塁打記録保持者。60本塁打を放ったシーズンオフには彼の帰国とともにパレードが開催され、島はお祭り騒ぎになった。オランダ代表はアテネ五輪、2013WBCに継ぎ3度目。2013WBCでは4番に座り活躍したが、怪我や本塁打なしといった結果に終わり、少し物足りないものとなった。今大会ももちろん4番に座ることが予想され、本塁打を期待される。今季は怪我の影響で後半戦で復帰したばかりだが、CS、日本シリーズで勢いをつけて代表に合流したい。日本を知る男でもあり、世界を知る男。決勝以降、日本との対戦で頼れる男になる。
15試合 打率.186 本塁打1 打点6 OPS.488
33.Wladimir Balentien

○クリス・ガリア/Chris Garia 182cm/74kg 1992年12月16日22歳
テキサス・レンジャーズ傘下(A+) 右両 「キュラソー

今季一気にAAAまで駆け上がったプロスペクト。27盗塁を記録した瞬足もさることながら、打撃面でも8本塁打をマーク。しかも、両打席からとも本塁打を放っており、貴重なスイッチヒッターとなりそうだ。外野守備も無難にこなせるようで、似たタイプの選手であるオデュベルとは熾烈なレギュラー争いが繰り広げられるだろう。
89試合 打率.283 本塁打8 打点46 OPS.781


選手の出身はヨーロッパから中米と各々ですが、基本的にオランダ語読みに近づけています。アンドリュー・ジョーンズ選手は日本でも英語読みが浸透しているのでそのままにしています。オランダ国内でプレーする選手は、オランダ語読みがやはり喜んでくれます。日本で声をかける時には是非、名前(ファーストネーム)をオランダ語読み呼んでみてください。

※写真の転載は固くお断りします。


※以降はオランダ代表合宿後、最終選考で落選した選手達です。

【投手】
○ヨナサン・バレンティナ/Jonathan Balentina 191cm/100kg 1989年9月9日
シントマリア・パイレーツ(キュラソー国内) 左左 「キュラソー」 リリーファー 

2013WBCメンバーである、変則サイド左腕。独特の投げ方により左打者は打ちにくい。球速は130中盤ほどで、これといった変化球はスライダー、チェンジアップほど。アメリカの大学を優秀な成績で卒業後、キュラソー国内でプレーしている。今季はワールドポートトーナメントにもキュラソー代表として出場。
12.Jonathan Balentina

○ヴェンデル・フローラナス/Wendell Floranus 180cm/72kg 1995年4月16日20歳
ボルティモア・オリオールズ傘下(Rk) 右右 「キュラソー」リリーファ

Rkでプレーしていた若手リリーファー。ところが今季終了と共に解雇された。今シーズンは4年間プレーしたうちでも最高に近い成績を残しただけに残念だ。再就職のためにも将来性を勝手の招集か。
17試合1勝2敗 防御率1.75 奪三振20
15.Wendell Floranus


【捕手】
クインティン・デクーバ/Quintin de Cuba 191cm/82kg 1987年9月9日28歳
コレンドン・キンヘイム(オランダ国内) 右左 「キュラソー

2012年ハーレムベースボールウィークから代表入り。勝負強いクラッチヒッターだ。2012ユーロ決勝では劣勢の中で追撃のホームランを放つなど、パンチ力もある。2013WBCでは途中出場で、山口投手からタイムリーを放った。ここ数年はホーフトクラッセでの成績もそれほど目立ったものではなく、彼が合宿に参加できたのも少し疑問。ホームタウンでの合宿で生き残りをかけて戦う。
40試合 打率.301 本塁打4 打点26 OPS.784
19.Quintin de Cuba

【内野】

○ケフィン・モスキート/Kevin Moesquit 177cm/81kg 1991年6月20日24歳
コレンドン・キンハイム(オランダ国内) 右右 「キュラソー」 セカンド

20歳からの3年間はエンジェルス参加のRk、Aでプレー。リリースされるとホーフトクラッセへ渡ってきた。2014の21Uワールドカップにもオーバーエイジ枠で選出され、チームを引っ張った。ケンプ同様、小柄ながらパンチ力を秘めており、守備も無難にはこなす。セカンドのベテランが引退した跡をしっかりと埋めた。
36試合 打率.314 本塁打2 打点23 OPS.869
23.Kevin Moesquit

ダッドリー・レオノラ/Dudley Leonora 185cm/69kg 1991年12月15日23歳
コレンドン・キンハイム(オランダ国内) 右右 「シントマールテン」 ショート

今季からホーフトクラッセに移籍してきた元マイナー選手。17歳からの4年間はオリオールズ傘下のRk、Aでプレーした。体格の割に長打力はない、短距離ヒッター。今シーズンはキャプテンでショートであったクレーマーの後釜でキンハイムに加入し、守備面では遜色ないほどの働きは見せた。しかし、打撃面では当初4番を任せられるなど、期待をかけられたが、それに見合うだけの成績は残すことができず、チームは急遽アメリカ人のオルティスを獲得することにもなった。彼が選ばれたのも少し疑問だ。素材があるだけにもう少しパワーをつければ面白いか?
42試合 打率.299 本塁打0 打点22 OPS.663
24.Dudley Leonora

○ダーレン・セフェリーナ/Darren Seferina 175cm/79kg 1994年1月24日21歳
セントルイス・カージナルス傘下(A) 右左 「キュラソー」セカンド

こちらもカージナルスのプロスペクトの瞬足内野手。盗塁は2年間で42個決めており、打率も安定して2割後半を維持している。今季6月には打率.410という驚異の打率を残したが、最終的には落ち着いてしまった。ただ、その月間打率を見るとポテンシャルの高さも伺える。今季はなんと12本もの三塁打を放っている。
107試合 打率.295 本塁打4 打点33 OPS.800

【外野】

○ジルマー・ランプ/Gilmer Lampe 190cm/83kg 1990年3月1日25歳
UVV 右右 「アルバ」

アルバ出身の韋駄天。2008年から5年間はマリナーズ傘下のRkでプレーした。昨年からホーフトクラッセUVVに移籍し、活躍している。瞬足を活かした外野守備は広い守備範囲を誇り、20盗塁をマーク。しかし、打撃はまだまだ実力不足で、将来性を見据えた選出か。オデュベル、ガリアに負けない快速でアピールできるか。
42試合 打率.299 本塁打0 打点22 OPS.663
34.Gilmer Lampe

○ロジャー・バーナディナ/Roger Bernadina 188cm/98kg 1984年6月12日 31歳
アトランタ・ブレーブス傘下(AAA) 左左 ナショナルズ 「キュラソー

2012年には1年間を通してメジャーで活躍した元メジャー戦士。どんな飛球も迫力あるだいぶでキャッチしてしまうことからシャークの異名を持つ。メジャーでは伏兵として活躍し、チームを支えた。フェンス際のプレーはピカイチで、打撃でもメジャー通算28本の本塁打を放っていてパンチ力がある。かつてはオランダリーグのフーフトクラッセでプレーしていたこともある。今季は1年を通してAAAでプレーし、メジャーには上がれなかったが、それが幸いしこの大会でオランダ代表としてプレーできる。
119試合 打率.276 本塁打15 打点62 OPS.849
32.Roger Bernadina