蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

2017WBCオランダ代表選手名鑑

 「オランダ王国」は、みなさんがご存知の「オランダ」とは多少差異があります。「オランダ」とは「オランダ王国」の構成国の一つに過ぎません。この中には他に、「キュラソー」や「アルバ」「シントマールテン」といったカリブ海の国も加わります。これら4つの国は互いに対等な立場で「オランダ王国」を構成しています。よって、マスメディア等でしばしば「オランダ領」と称される「キュラソー」や「アルバ」は、正確には「オランダ領」ではございません。

 日本球界でもお馴染みのバレンティンが前回のWBCにオランダ代表として出場していたのを見て、不思議に思われたかともいるでしょう。つまりWBCオランダ代表は、「オランダ王国」代表だったのです。

 

 ですので野球オランダ代表には白人も黒人もまぜこぜです(もちろん「オランダ」にも黒人の方はいます)。オランダ人、キュラソー人、アルバ人などなど、様々な地域で育ち、様々な文化を持ち合わせる選手たちが「オランダ王国」という名のもとに団結し情熱をかけてプレーしているのもオランダ野球の魅力の一つです。

 また、彼らの中にはオランダ国内リーグホーフトクラッセセミプロとして活躍する選手。はたまた、アメリカのMLB傘下でプロとして活躍する選手が存在します。こうした異なる舞台、レベルでプレーする選手たちが一堂に会して優勝を目指すのはなんともロマンがありませんか?

 昨年、オランダ代表はユニフォームのデザインに微修正を加えました。今まではオランダを意味する「NEDELAND(ネーデルランド)」と胸に表記していました。が、今回の修正で「Kingdom of the Netherlands(オランダ王国)」とし、キュラソーやアルバなども含めた意味にしました。

 選手もさることながら、コーチ人の顔ぶれも「地域色」豊かです。監督がMLB日本、韓国でもプレーした「キュラソー」人のヘンスリー・ミューレンス。ヘッドコーチがベルギーからキャリアを求めて「オランダ」に渡ったスティーフ・ヤンセン。打撃コーチが「オランダ」球界のレジェンド、シドニー・デヨング。1塁コーチ、3塁コーチがそれぞれ「キュラソー」のベン・セイセン、「アルバ」のヴィム・マルティナス。「オランダ王国」総出の、コーチング体制が築かれています。もちろんそれは代表候補の選手たちもそのような構成になっているからです。

 

 更には、皆さんご存知のアンドリュー・ジョーンズ(元楽天)がコーチングスタッフに入閣。日本球界の選手たちを熟知しているAJが入ったことで日本戦も厳しい戦いになるのは間違いないでしょう。

 それでは、「オランダ王国」のもとに集まった代表選手たちをご紹介します。

 

【例】

○名前日本語/ローマ字 身長/体重 生年月日 年齢

所属チーム 投打 「出身地」

 

【投手】13人

〇リック・ファンデンハルク(バンデンハーク)/Rick van den Hurk 198cm/105kg 1985年5月22日31歳

 福岡ソフトバンクホークス 右右 「オランダ」

 オランダのエース。 皆さんご存知の通りNPB福岡ソフトバンクで活躍しているオランダ人助っ人だ。ストレートは常時150キロ超え。変化球はスライダー、ナックルカーブ、チェンジアップ。特にナックルカーブは決め球にも使える伝家の宝刀。1番の武器はストレート。本人も自信を持っているようで、三振をとるのもほとんどストレート。

アイントホーフェン出身。16歳でメジャーリーグフロリダマーリンズと契約。2007年にはメジャーデビューをはたします。しかし、三振を取るだけの球威はあるものの、一発病と制球難に悩み、メジャーには定着できずにいました。 転機が訪れたのは2012年、移籍していたパイレーツAAAでのこと。投手コーチとともにオーバースローからスリークウォーター気味にフォームを修正。ストレートの球速が伸びるとともに、決め球のスライダーの曲がりが格段に大きくなりました。この年はAAAで13勝を挙げ、リーグMVP。韓国サムスンへ移籍する足掛かりとなります。

サムスン1年目は右肘の故障に悩まされ7勝に終わりますが、韓国シリーズで大活躍。そして、2年目には元横浜などの門倉投手コーチとももに取り組んできたフォーム改造が実を結び、先発の柱として連覇に貢献。個人成績でも最優秀防御率奪三振王を獲得しました。

来日後の活躍については御周知のとおり。来日から14連勝の記録を作った。オランダ代表は2009年WBC以来の2大会ぶり。投手陣の中心としてチームを引っ張る。

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リック・ファンデンハルク

 

○ロビー・コルデマンス/Rob Cordemans 190cm/93kg 1974年10月31日42歳

 L&Dアムステルダムパイレーツ 右右 「オランダ」

オランダ球界のレジェンド。WBC3度、オリンピック4度出場と、輝かしい経歴を持つ。球速以上に威力のある真っ直ぐと、伝家の宝刀チェンジアップが特徴。2011ワールドカップではキューバを八回途中まで2安打1失点で勝利投手。

チェンジアップは抜いた球と落ちる球の二種類を投げ分ける。日本ファンには鳥谷に先頭打者ホームランを打たれたことで記憶されてるかもしれないが、それ以降は投球スタイルを多少チェンジ。カーブを有効に使うようになった。それが功を奏してか、2015年春の対侍ジャパン戦では先発して2回をきっちりと零封した。

ピッチングへの探究心は40歳を超えても大きくなるばかりだ。代表でもチームでも若手へ指導、ノックもこなす。昨年は右肩の疲労からシーズンの終盤まで投球を控え、チームにはコーチとして尽力した。7月のハーレムで復帰したが、オランダシリーズでは優勝決定戦で5回3失点。チームを優勝に導くことはできなかった。昨秋の侍ジャパン戦も不参加だったが、状態はどこまで回復しているのか。球種はストレート(130前半)、カーブ、チェンジアップ。

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○ディエゴマー・マークウェル/Diegomar Markwell 188cm/88kg 1980年8月8日36歳

 ロッテルダムネプチューンズ 左左 「キュラソー

オランダの左腕エース。この人も長年代表の主力として活躍している。WBCで韓国戦やキューバ戦の勝利投手だったのも彼。世界一ドミニカ戦でも中盤までしっかりと試合を作った。侍ジャパン首脳陣も彼を一番警戒していたという話もあり、メッツなどの複数のメジャー球団が彼に興味を示した。

スリークォーター気味に投げ込み、スローカーブを効果的に使って打たせてとる。ロングリリーフもこなす使い勝手のいい投手だ。

昨季のオランダシリーズでは相手エースのコルデマンスと対決し、同じく5回3失点。ベンチでは怒りをあらわにし、グラブを投げつけた。昨秋の侍ジャパン戦では第2戦に先発し3回を1失点にまとめた。今大会では先発もしくは第2先発の役割になるだろうが、フル回転の活躍が求められる。球種はストレート(130中後半)、カーブ、スライダー、チェンジアップ。

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ディエゴマー・マークウェル

 

○マイク・ボルセンブルーク/Mike Bolsenbroek 203cm/95kg 1987年3月11日29歳

  レーゲンスブルクレギオネーレ 右右 「オランダ」

ドイツ代表経験もある異色なオランダ人右腕。18歳でオランダ・ホーフトクラッセでデビューを果たす。ホワイトソックスにドラフト指名されるも断り、ドイツの強豪レギオネーレへ。翌年ドラフト外フィリーズとの契約を掴む。3年間マイナーでプレーするもリリースされ、次の活躍の舞台として選んだの再びドイツだった。レギオネーレのエースに成長し、2012年のWBC予選ではドイツ代表として出場した。

しかし、彼の活躍を嗅ぎつけたオランダ野球連盟は彼にオファーをかけた。2014年のハーレムベースボールウィーク(オランダ主催の国際大会)では初めてオランダ代表入りした。また、その年の欧州野球選手権ではローテを守り、ギリシャ戦で7回ノーヒットノーランの活躍でMVP候補にもなった。昨季は東京六大学選抜相手に7回を4安打6奪三振無失点に抑えており、今大会は第2先発としてロングリリーフを任せられることになるだろう。

 侍ジャパン戦の解説をした福岡ソフトバンク和田毅投手は彼のストレートの球威を評価。ストレートは140キロ中盤を誇り、落ちる球で三振をとる本格右腕だ。

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マイク・ボルセンブルーク

 

○ジェイアー・ジャージェンス/Jair Jurrjens 185cm/90kg 1986年1月29日30歳

 フリーエージェント 右右 「キュラソー

アトランタブレーブスでメジャーリーガーとして活躍した投手。今回はエース格か。2009年には14勝を挙げ、通算でも53勝。2011年5月には月間MVPを獲得し、オールスターにも選出された。現在のオランダ球界では最も輝かしい経歴を持つ投手だ。今シーズンはコロラド・ロッキーズと契約しメジャーにも復帰したが、結果を残せず降格。そのまま解雇になってしまった。ストレートは140中盤だがスライダーなどを低めに制球し、ゴロを打たせていく。高めの釣り玉などを使い三振も取れる。メジャー時代の輝きをオランダ代表で取り戻せるか。

 昨年のプレミア12ではキューバ戦に登板したが、チームを勝利に導くことができなかった。大会を途中でリタイアし、不完全燃焼。侍ジャパンとの強化試合では、第1戦に先発し得意のチェンジアップで侍打線を苦しめた。WBCでアピールしMLBに返り咲きたい。

 

○フアン・カルロス・スルバラン/Juan Carlos Sulbaran 188cm/99kg 1989年11月9日26歳 カンザスシティ・ロイヤルズ(AAA) 右右 「キュラソー

何度もオランダ代表に入っているプロスペクト。今年はAAAまで昇格した。2009WBCではアメリカの強打者たちに強気のピッチングを披露していた。だが、その後の代表では2012年のユーロで打ち込まれたりとあまり活躍できていない。特徴はストレート、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。ここ2年ほどで磨きがかかってきた。球速は140中盤ほどであるが、それゆえ力で押そうとすると打ち込まれる場面も。

 昨年のプレミア12では大事な場面でのロングリリーフが期待されたが、いい働きはできなかった。期待されてきたプロスペクトも既に27歳。美人メキシコ人妻のためにも代表で結果を出してメジャーへの足掛かりにしたい。

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フアンカルロス・スルバラン

 

○シャーロン・マーティス/Shairon Martis 185cm/102kg 1987年3月30日29歳

 リンカーン・ソルトドッグス(米独) 右右 「キュラソー

若い頃から長年代表を経験してきた右腕。WBC2回出場、MLBでも26試合登板した。昨年は台湾で28試合8勝7敗の成績を残した。2006WBCでは7回参考記録ながらノーヒットノーランを達成した。落ちるスライダーが武器。調子が悪いと球が真ん中に集まる制球難が欠点。ここ数年は急速が目に見えて落ちており、侍ジャパンとのグローバルマッチ第1戦で敗因となったピンチを作ったのはこの人。球種はストレート、スライダー、チェンジアップなど。

 プレミア12では、球速の状態が戻りロングリリーフで活躍。145キロ前後をマークしていた。ノックアウトされた先発の後を継ぎ、ロングリリーフとして勝利を手繰り寄せる働きを見せた。

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シャーロン・マーティス

 

ルーク・ファンミル/Loek ven Mil 216cm/120kg 1984年9月15日32歳

 ロッテルダムネプチューンズミネソタ・ツインズ(AAA) 右右 「オランダ」

全世界の野球選手で最高身長の216cm右腕。昨年は楽天で7試合に登板した。角度あるストレートは威力万点で最速は150前半。高速のカッターも投げ込む。ウインイングショットは落差あるスプリットだ。

日本では星野監督の指導の下、カーブも覚えた。制球力が課題だ。2015年はホーフトクラッセネプチューンズに復帰し、守護神を務め防御率は圧巻の0.36。オランダ主催の国際大会にキューバ目当てで訪れていたツインズスカウトの目にとまり、アメリカに復帰したが、再びリリースされオランダに戻ってきた。ここ2年はシーズンオフにオーストラリアウィンターリーグに参加し、守護神として活躍。リーグのオールスターにも選出された。

2016年もネプチューンズの守護神として君臨。17試合8セーブをマークし、2年連続でオランダシリーズの胴上げ投手となった。今大会はドジャースヤンセンが辞退したため守護神役が期待される。

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ルーク・ファンミル

 

○トム・スタイフベルヘン/Tom Stuijfbergen 190cm/115kg 1988年9月26日28歳

 コレンドン・キンハイム 右右 「オランダ」

オランダの次期エース候補。18歳でミネソタツインズと契約し、オランダ代表でも20歳の頃からプレーした。兄も元オランダ代表の投手。2011ワールドカップでは最優秀防御率に輝き、大会を通じて無失点だった。1年前にトミージョーン手術を受け、昨年1年間はリハビリに費やした。夏、ホーフトクラッセプレーオフで復帰すると、9月の欧州野球選手権では、決勝のイタリア戦で1アウト満塁の場面をリリーフし2者連続三振。オランダの優勝に大きく貢献。

ストレートは重さがあり、WBCではドミニカ共和国オルティスからも三振を取った。侍ジャパンとのグローバルマッチ第2戦ではフォーシームとツーシームのコンビネーションのみで、嶋と山田哲人を2者三振にとり、最後を締めた。落差の大きいスライダーをウイニングショットにもできる。

幾度となく軽度の故障を繰り返す。今シーズンも何度も怪我で離脱しシーズン通しての活躍はできなかったが、ハーレムでは先発陣の中心として活躍。決勝の日本戦でも5回を無失点。体重を落として怪我を少なくすれば、正真正銘代表の中心投手になれるはずだ。球種はフォーシーム(最速150弱)、ツーシーム、スライダー、チェンジアップ。

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トム・スタイフベルヘン

 

○オーランド・インテマOrlando Yntema 190cm/81kg  1986年2月21日30歳

 ロッテルダムネプチューンズ 右右 「ドミニカ共和国

オランダ人の父を持つドミニカ出身の右腕。2重国籍。2010年のインターコンチネンタルカップから代表入りした。昨年はホーフトクラッセ最優秀防御率を受賞、チームの優勝に大きく貢献した。先発も中継ぎもできるパワーピッチャー。重いストレート、落ちるスライダーが特徴。このスライダーの出来次第でこの投手の調子が左右されると言っても過言ではない。2011ワールドカップではスライダーが低めにことごとく決まり、キューバ戦で勝利投手になった。2016年シーズンでははノーヒットノーランを達成した。ストレートは140前後。

課題はフィールディング。2015年のプレミア12のアメリカ戦で中継ぎ登板すると投ゴロ処理で2度暴投し、敗戦の原因になった。

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オーランド・インテマ

 

○ジム・プルーヘル/Jim Ploeger  190cm/102kg 1991年6月21日25歳

 HCAW 左左 「オランダ」 リリーファ

今シーズンからオランダホーフトクラッセに復帰した若手左腕。2009年にはオランダ野球ソフト協会の最優秀若手投手賞を受賞し、同年には早くもワールドポートトーナメントにて代表入りしていた。その後は一度も選出されず、その間2011~2014年はアメリカの大学でプレー。復帰した今季はBクラスのチームで一際目立った活躍をして、再びワールドポートトーナメントで代表へ復帰した。長年のオランダ代表の課題である左腕投手の不足に彼が穴を埋めることができるのか。何より目立つのが奪三振数。

 今季は代表で初の先発を経験。ハーレムとユーロで2度先発し、しっかりと勝ち投手になった。マークウェルの後釜として成長中の投手だ。

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ジム・プルーヘル

 

〇ラルス・ハイヤー/Lars Huijer 1993年9月22日23歳

 パイオニアーズ 右右 先発

 2年前まで4年間アメリカマイナーの有望株として活躍していた若手右腕。昨年、スプリングトレーニングの時点で自らのキャリアを見直しオランダに帰国。2015年冬には台湾のアジアウィンターリーグにヨーロッパ代表として参加し、チームのエースとして活躍。NPBKBOCPBL等のアジアのプロ選手の2軍相手に好投を見せ、飛躍へのきっかけをつかんだ。今季は最多勝最多奪三振を獲得し代表にも初選出。ハーレム、ユーロの両大会で先発として奮闘。ユーロ決勝では病み上がりのベテランコルデマンスの後を継ぎロングリリーフ。チームのサヨナラ勝利へ結びつけた。

 持ち球はスライダー、チェンジアップ。高速チェンジアップ気味の落ちる球は効果的。ファストボールは140キロ前後。

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ラルス・ハイヤー

 

〇トム・デブロック/Tom De Blok 1996年3月8日20歳

 アムステルダム 右右 リリーフ 

 17歳でシアトルマリナーズと契約した超有望株。しかし、1年目のスプリングトレーニングで数週間を過ごした後、契約を解除し帰国。本人曰く、アメリカで野球が仕事でしかなく、オランダのように楽しく野球がプレーできなかった。

 帰国後は1年目からホーフトクラッセ1軍デビューし、下位のHCAWに所属しながらも上位チームの強打者相手に球威ある真っすぐを投げ込み、三振を奪っていた。2014年にはU23ワールドカップで代表に初選出。世界の舞台を経験する。昨年からはオランダリーキーリーグ時代に所属したアムステルダムパイレーツに復帰し、リリーフエースとして活躍すると、今季は守護神に定着。クラブ対抗のヨーロピアチャンピオンズカップでは、胴上げ投手になった。

 持ち味は何といっても93、94マイルを計測する真っすぐ。変化球としては大きなスライダーがある。シーズン最後は、オランダシリーズで相手に勝ち越し点を許し、優勝を逃した。昨年の侍ジャパン戦での投球に目を付けた楽天が彼をトライアウトし合格をもらったが、本人の意思でオランダに残ろことを決意した。今回さらなる快投を見せれば、NPBMLBからオファーが来る可能性もある。ファンミルらとともに勝ちパターンのリリーフとして期待がかかる。

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トム・デブロック

 

【指名投手枠】

○ケフィン・ヘイステック/Kevin Heijstek 193cm/97kg 1988年4月19日28歳

 L&Dアムステルダムパイレーツ 右右 「オランダ」

オランダの次世代エース。2013年はホーフトクラッセ最優秀防御率、2015年は最多勝を獲得。2014ユーロではエース的な役回りでチームの優勝に貢献した。伝家の宝刀は落差の大きいカーブ。2013WBCでは日本戦で失点は許したものの、変化球などで日本の打者を翻弄した。

ストレートは140前後だが、キューバ人で2014MLB新人王のアブレイユやロッテのデスパイネを空振り三振にとったこともある。是非とも日本で見てみたい投手の1人。

2016年は開幕からコルデマンスが不在の中、一人でチームを引っ張り、クラブ対抗のヨーロピアカップでは決勝に登板し、西武に入団したキャンデラリオに投げ勝った。ただその試合の守備中に脚を故障し、残りのシーズン全休を強いられた。WBCへ向けてリハビリに励み指名枠に入り込み、代替選手の一番手に上がるだろう。球種はストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップ。

 

○ベリー・ファンドリール/Berry van Driel 193cm/90kg 1984年12月26日32歳

ロッテルダムネプチューンズ 右右 「オランダ」 リリーファ

「オランダ」のリリーフエース。2014年オランダシリーズのMVPにもなった。最速140キロ代後半を誇るまっすぐはキューバの強打者も振り遅れてしまう。近年は成績が落ち着いてきてはいたものの、2014年後半に始めて先発を経験し、先発に適用。アムステルダムとのオランダシリーズでは王手をかけられた2試合に先発し、どちらの試合でも勝ち投手になった。カウントを稼ぐスライダーとともに、決め球には落差あるスプリットも使う。今季は怪我の影響もあり、少し不調だった。

 プレミア12でもリリーフとして活躍。味方守備に足を引っ張られ、決勝トーナメント敗北に繋がる失点を許したが、国内経験のみでも世界に通用することを示した。

 

〇ケヴィン・ケリー/Kevin Kelly

 ネプチューンズ 右右 リリーフ

 オランダの強豪ネプチューンズのリリーフエース。キュラソー出身で2013年までアメリカの大学で勉学にいそしみながら野球をプレーしていた。その間に、オランダ開催のワールドポートトーナメントにキュラソー代表でした経験も持つ。

 その後、大学卒業を機にオランダホーフトクラッセネプチューンズへ入団。入団当初から、リリーフとして活躍。オランダ入り後1年目で代表に選ばれた。国内組だけでの編成の代表ではしばしば招集されていたが、米マイナー組も含めた代表では昨年の侍ジャパン戦で初招集され、鈴木誠也に満塁弾を浴びた。

 ファストボールは90マイルを超える球威が魅力。

 

○ヴェンデル・フローラナス/Wendell Floranus 180cm/72kg 1995年4月16日20歳

 ボルティモア・オリオールズ(Rk) 右右 「キュラソー」リリーファ

Rkでプレーしていた若手リリーファー。ところが今季終了と共に解雇された。今シーズンは4年間プレーしたうちでも最高に近い成績を残しただけに残念だ。再就職のためにも将来性をかっての招集か。2014ユーロ、プレミア12に続いての代表入り。90マイル以上を計測するスピードが持ち味だが、どんな変化球があるのか、詳細は不明だ。

 大谷翔平に屋根に突き刺さる大飛球を打たれた投手。

 

バイロン・コルネリッセ/Bayron Cornelisse 1993年11月4日23歳

 ファエッセン・パイオニアーズ 右右 「オランダ」 クローザー、リリーファ

2012年、パイオニアーズにて19歳でデビュー。ルーキーイヤーに19試合に登板し防御率0.00、3勝1敗8セーブの成績で守護神の座を掴んだ若武者だ。2009年彼が野球アカデミーに参加した時のコーチが、以前オランダ代表のクローザーとして活躍していたポール・アネ。パイレーツやパイオニアーズでコーチの経験があるアネから、クローザーとしての技を教え込まれた彼もクローザーを目指すようになった。

福岡ソフトバンク森唯斗のように思い切りよく投げ込んでくる。落ちる高速スライダーも武器。数年前にはメッツのスカウトが興味を示していたとの噂も、、、

オランダ主催の国際大会では、代表で中継ぎエース的な役回りを任されるが、昨年のプレミア12ではいい活躍ができなかった。球速も140キロ前後。鮮烈なデビューから、さらなる成長が求められる。

 

【捕手】2人

○ショーン・サラガ/Shawn Zarraga 182cm/111kg 1989年1月21日27歳

 ロサンゼルス・ドジャース(AAA) 右両 「アルバ」

現在のオランダ球界ではナンバーワン捕手。2010年のIBAFインターコンチネンタルカップでオランダ代表に初選出。その後は2011ワールドカップ、2014ユーロ選手権で代表に選ばれている。2010、2011の代表の際は、当時の正捕手で現打撃コーチのシドニー・デヨングに才能を見込まれ、打撃からキャッチングに至るまでみっちり指導を受けた。プロ入り前には全世界の若武者がホームラン競争を行うパワーショーケースで長打力を見せつけた。近年はその長打力は少し影を潜めているが、両打席からシュアな打撃でコンスタントにヒットを放つ。2014ユーロではしっかりと投手陣をリード。

 プレミア12では代表で初本塁打。手首を痛めながらも強行出場し、正捕手として背中でチームを引っ張った。今季はアメリカでも初めてメジャーのベンチに入り、出場はなかったが夢の舞台へ一歩近づいた。

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ショーン・サラガ

 

○ダシェンコ・リカルド/Dashenko Ricardo 182cm/93kg 1990年3月1日26歳

 コレンドン・キンハイム 右右 「キュラソー

守備型キャッチャーで、2013WBCでの正捕手。WBCでは的確なリードでチームをベスト4に導いた。オリオールズジャイアンツでプレーしたが、課題の打撃がふるわず解雇になり2014年からホーフトクラッセへ。2014年はホーフトクラッセでも打率は上がらず.266だった。が、2015年は一転。打撃が開花し、リーグ2位の打率を残した。痛めていた肘も少しずつ回復に向かっているようで、盗塁阻止率は.390。サラガのバックアップとして、守備固の起用が予想されるが、近年の打力向上によりスタメンも十分考えられる。

 今季途中に突如引退を表明。キュラソーに帰ると表明したが、結局オランダに残り最後までプレーした。来季からは米独立リーグでプレーする予定だ。

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ダシェンコ・リカルド

 

【内野】8人

○クルト・スミス/Curt Smith 177cm/95kg 1986年9月9日30歳

リンコルン・ソルトドッグス(米独) 右右 「キュラソー」 ファースト

広角に打ち分ける中距離ヒッターであり、代表のオランダ代表の主軸。2011年ワールドカップでは3本塁打で、打点王とMVPを獲得。リーチが長くボールを拾って本塁打にするパワーを持ち、大事な場面で打点を稼ぐ勝負強さが特徴である。2013WBCでも5番、6番に座りクリーンナップが残したランナーをしっかりとホームへ帰していた。例えるとイ・ボムホか。2015年の侍ジャパンとのグローバルマッチでも来日し、藤波ら日本の投手から初戦は3安打の固め打ち。彼のコンパクトで無駄のないスイングは秋山幸二中畑清をも唸らせた。

 2016ユーロでも主軸として活躍し、打率.364と打ちまくったが、今回の強化試合は毎年恒例のニカラグアウィンターリーグに出場するため欠場。

 今大会では6、7番として残ったランナーを返す役割が期待される。

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クルト・スミス

 

○ユレンデル・デカスター/Yurendell de Caster 182cm/97kg 1979年9月26日37歳

 カンペチャ・パイレーツ(メキシコ) 右右 「キュラソー」 サード、セカンド、ファースト、外野

まだまだ元気なベテラン選手。2009WBCではサードで美技を連発し、日本のファンをも驚かせた。ダイナミックな守備と鉄砲肩が武器だが、年を重ねた現在は外野も器用にこなす。バッティングでもパンチ力を秘めており、2009WBCではクリーンナップを打ち、ドミニカ共和国戦でサヨナラ打を放ったのもこの人だ。2014年のニカラグアウィンターリーグでは打点王を獲得し、老け込む様子は見られない。侍ジャパンとのグローバルマッチで、彼が松葉投手から放った3点本塁打を覚えていらっしゃる方も多いはずだ。使い勝手のいい万能選手である。

 侍ジャパン戦では3番として大爆発。日本の解説人をうならせた。今大会は代打の切り札として期待したい。まだまだ衰えを見せていない。

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ユレンデル・デカスター

 

〇ジュリクソン・プロファー/Jurickson Profar 1993年2月20日24歳

テキサス・レンジャーズ 右両 「キュラソー

 トッププロスペクトとして名をはせるメジャーリーガー。アンドリュー・ジョーンズに憧れて野球を始め、2004年にはリトルリーグ・ワールドシリーズでエースとして活躍しチームを躍進させ、準優勝に輝いた。帰島すると島はお祭り騒ぎだったとか。

 内野手としてテキサスレンジャーズと契約すると、メジャーの有望株として名をあげられるようになった。2013年のWRBCでは球団の許可が下りなかったのか、最初から出場することはできなかったが、けが人の代替として準決勝にのみ出場した。

 オランダのメジャー有望株の内野手たちが次々と活躍していく中、ここ数年は伸び悩んでいる。今回の代表選ではメジャーリーガーとしてレベルの高いプレーを期待したい。

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ジュリクソン・プロファー

 

〇ディディ・グレゴリウス/Didi Gregorius 185cm/84kg 1990年2月18日26歳

 ニューヨーク・ヤンキース 右左 「キュラソー/オランダ」

 ヤンキースのレジャンドジーターの後継者。高い身体能力を生かしたショートでの守備とパンチ力を秘めた打撃が売りの選手だ。

 2011年IBAFワールドカップでオランダが優勝した時以来の代表入り。当時は、2番ショートとして美技を披露しチームの優勝に大きく貢献した。

 メジャーリーグでのキャリアはシンシナティレッズで始まり、ダイヤモンドバックスで2年間ショートのレギュラーとして奮闘した。その後チームのキャプテンであり正ショートのジーターが引退したヤンキースに後継者と目されてトレード移籍。移籍1年目は安定した守備でレギュラーを勝ち取ると、2年目の昨季は打撃力が向上し20本塁打を記録した。

 6年ぶりの代表入りと打棒、守備双方に期待できる。

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ディディ・グレゴリウス

 

アンドレルトン・シモンズ/Andrelton Simmons 188cm/77kg 1989年9月4日 27歳

ロサンゼルスエンジェルス 右右 「キュラソー

世界ナンバーワンショート。ゴールデングラブ賞をはじめとしたメジャーの守備関連の賞の常連だ。投手として160近いボールを投げていた強肩をいかしたダイナミックなプレーが自慢だ。

 ドラフト時、各球団が投手として彼を指名する中、唯一内野手として指名したのがブレーブス。3年目にメジャー昇格を果たすと、月間優秀新人賞を獲得するとその勢いのままレギュラーを獲得した。2013年にはオランダ代表に初招集。1番ショートとして全試合に出場すると、キューバ戦では値千金の同店2ランホームランを放つなど大活躍。その試合にサヨナラ勝利したオランダはベスト4入りを果たした。

 その後はメジャーの舞台でナンバーワンショートの称号を自分のものにする活躍で日本のファンにも知られる存在になった。相手ファンもあんぐり、うっとりするような美技を今回も披露してくれるだろう。

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アンドレルトン・シモンズ

 

〇ヨナサン・スホープ/ Jonathan Schoop 185cm/88kg 1991年10月16日25歳

ボルティモアオリオールズ 右右 「キュラソー

パンチ力を秘めた大型セカンド。メジャーの舞台で3年連続2桁本塁打、昨年は162試合に出場し25本のホームランを放っているスラッガーだ。ヤンキース田中将大からも一発放っている。

代表入りは3度目。1度目は2011年のワールドカップ。サードのレギュラーフィンス・ローイが負傷したため、急遽レギュラーに抜擢された。安定した活躍はできなかったが、決勝のキューバ戦で値千金のセンター前タイムリーを放ち優勝に大きく貢献。兄シャーロンと6,7番で並んで打線をはった。

2度目は2013年WBC。一回り成長したヨナサンは2番セカンドのレギュラーとして2本のホームランを放った。この大会の活躍がその後のメジャーでの活躍の足掛かりになったのは間違いない。

また更に一回り成長したヨナサンが前回を上回る活躍で、また更にメジャーでステップアップするための大会にしたい。

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ヨナサン・スホープ

 

〇サンダー・ボガーツ(ボーハールツ)/Xander Bogaerts 191cm/84kg 1992年10月1日24歳

ボストン・レッドソックス 右右 「アルバ」

シルバースラッガー賞を受賞したこともあるボストンの強打のショート。昨年はシーズン途中までイチローのシーズン安打記録を抜く勢いで安打を量産していた(後半は失速)。2015年には.320で、初の三割超え。昨季は本塁打も増加し21本。

 オランダ代表は前回大会来2度目。本職はショートだが、シモンズがいるためサードで起用された、今回も同様の起用が予想される。2013年WBCでは、まだ打撃が粗削りで結果を残すことができなかったが、ここ3年のメジャーでの実績経験で今大会では3番などの中軸に入ることが目される。

 豪華な内野手の中で元雄もだが気力があるのは彼。守備はもちろんだが、バレンティンと共に打撃でチームをけん引してもらいたい。

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サンダー・ボーハールツ

 

〇ステイン・ファンデルミール/Stijn van der Meer 1993年5月1日23歳

 ヒューストン・アストロズ(Rk) 右左 ショート、サード

 オランダ人で史上初、MLBドラフトで34位指名されたオランダの至宝候補。アストロズルーキーリーグでプレーしている。

 2011年のU18ヨーロッパ選手権首位打者を獲得すると、翌年19歳でホーフトクラッセデビュー。ルーキーイヤーからレギュラーを掴み打率は.330。大学に進学すると、大学野

球のシーズン中はアメリカ、オフはオランダでプレーするようになった。アメリカではラマー大学の中心選手として活躍。最後のシーズンは3番ショートとして野球盤フライングダッチマンと称された。オランダでは強豪ネプチューンズに移籍し、ヨーロピアカップなどの国際大会でMVPを獲得した。

 今季は大学最終年だったが、秋のドラフトでアストロズに指名され、すでにプレーしている。9月のユーロではMVPを獲得し、今のオランダで最も注目されている男といっても過言ではない。

 長身スリムな藤波体形で、華麗な守備と柔らかいバッティングを披露する。まだまだ、体ができておらず、肉体加増次第では大化けする可能性もある。オランダ本土出身選手として久々のメジャーリーガーになれるか。

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ステイン・ファンデルミール

 

【外野】5人

ウラディミール・バレンティン/Wladimir Balentien188cm/100kg1984年7月2日32歳

東京ヤクルトスワローズ 右右 「キュラソー

日本シーズン最多本塁打記録保持者。いわずと知れたヤクルトの最強助っ人だ。

前回大会ではWBCに合わせて早めに調整したためシーズンに入っても体調が万全で後半にバテず、夏場に本塁打を連発日本球界最高の60本を記録した。大会では4番としてチームをひっぱったが、本塁打は0。チームもベスト4に躍進するも、自身が本塁打を打つことでチームを優勝へ導くべく雪辱に燃えている。

 今回はメジャーでプレーする強度の後輩たちが代表するが、打線の軸はやはりこの人。4番は彼が打つことになると予想する。彼が4番にどっしり座ることで、メジャー組の後輩たちものびのびとプレーしてくれることだろう。

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ココ・バレンティン

 

○カリアン・サムス/Kalian Sams 188cm/112kg 1986年8月25日30歳

 ケベック・キャピタルズ(加独) 右右 「オランダ」

オランダ行政の中心デンハーグ出身のスラッガー。ワールドカップキューバ戦でのホームラン、ユーロでのサイクルヒットなど印象に残るパフォーマンスをする男だ。シアトルマリナーズやサンディエゴパドレステキサス・レンジャーズ傘下などでプレーしたが、昨年は台湾ポップコーンリーグにてプレーした。オランダシリーズ限定でネプチューンズでもプレーし、優勝に貢献した。欧州野球選手権では5番に座り、決勝のイタリア戦でも2本塁打した。ツボにはまった時のパンチ力は素晴らしく、もの凄い飛距離を出す。足も速いが、守備では後方の打球に対するアプローチに何がある。今回も主砲として期待したい。

彼も2015年春の侍ジャパンとのグローバルマッチで来日し、二塁打や犠牲フライでチームに貢献した。

 プレミア12でも活躍したが、やはりアメリカ、カナダのレベルの高い投手陣には苦しんだ。昨年の侍ジャパン戦では阪神タイガース藤浪晋太郎から強烈な本塁打を放った。

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カリアン・サムス

 

ランドルフ・オデュベル/Randolph Oduber 191cm/86kg 1989年3月18日27歳

左右 オリオールズ 「アルバ」左右

右打席から内野安打を生み出すほどの快速。その足を生かした守備範囲の広さも魅力だ。2013WBC戦士であり、怪我人の影響でスタメンにも周り、キューバ戦では彼の足を活かした機動力でキューバの守備をかき乱した。昨年のユーロの際には一回り身体が大きくなっており、長打力が増し、イタリアとの決勝でも効果的な本塁打を放った。彼の機動力はチームの大きな武器になっており、チャンスメイクの役割が期待される。

 今季はナショナルズからリリースされ、シーズン途中からオランダでプレー。怪我がちで、出たり出なかったりだったが、オランダシリーズでは存在感を示した。来年からは米独立でプレーする。

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ランドルフ・オデュベル

 

【代表合宿参加選手】

○シャーロン・スホープ/Sharlon Schoop 188cm/86kg 1987年4月15日28歳

 ボルティモア・オリオールズ(AAA) 右右 「キュラソー」 ショート、サード

メジャーリーガーであるヨナサン・スホープの兄。2009WBCから代表入りし、2011ワールドカップでは弟と並んで6番、7番に座り優勝に貢献した。その大会の準決勝韓国戦では逆方向に3点本塁打を放ったような長打力もある。2014年のユーロでも代表入りし、ショートを務め、守備面でも高い能力を見せた。中位でのクリーンアップが残したランナーを返す、勝負強い打撃に期待したい。

 弟がメジャーで活躍する中、兄はAAA、AAでプレー。弟の背中を追うためにも、代表で結果を残したい。

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シャーロン・スホープ

 

〇ニック・ウルバナス/Nick Urbanus 1992年3月29日24歳

 アムステルダム 右左 セカンド

 オランダの野球一家の御曹司。彼の祖父がオランダで野球の普及活動をしたため、その当時を知る世代の大半が「ウルバナス」家の存在を知っている。父親も野球選手で、元オランダ代表のエース投手だ。国際大会で大活躍し、野球界のレジェンドだ。現在はニックが所属するアムステルダムで監督を務め、2016のベストコーチ賞を獲得した。

 ニック自身はアムステルダムでホーフトクラッセデビューしたのち、テキサスレンジャーズと契約し、アメリカへ渡った。4年間戦ったが、2015年春にリリースされた。本人としては、オランダでプレーするとウルバナス家の息子として期待をかけられるが、アメリカではのびのびできるためアメリカの球団との再契約を望んでいたようだ。だが、検討むなしくオファーがなかった。

 オランダ復帰後1年目の2015年は3割をクリアできず、中途半端な成績に終わったが、今季は打線の核としてチームをヨーロッパ制覇へ導いた。パワーが向上し4本塁打をマークした。代表には2012、2014のユーロで選出され、それぞれの大会で活躍をしていた。今季もハーレム、ユーロで活躍。ユーロ決勝では貴重なタイムリーを放った。向上中の打撃とともに、自慢の好守で代表のレギュラーを掴みたい。

 

〇クリス・ガリア/Chris Garia 182cm/74kg 1992年12月16日23歳

 テキサス・レンジャーズ(AAA、AA、A) 右両 「キュラソー」 

2015年一気にAAAまで駆け上がったプロスペクト。27盗塁を記録した瞬足もさることながら、打撃面でも8本塁打をマーク。しかも、両打席からとも本塁打を放っており、貴重なスイッチヒッターとなりそうだ。外野守備も無難にこなせるようで、似たタイプの選手であるオデュベルと共に、相手投手を足で揺さぶる役割が期待される。プレミア12では怪我でろくにプレーできなかった。

 今季突如リリースされ、オランダパイオニアーズに加入した。ハーレム、ユーロでも代表に入り、リードオフマンとして活躍した。

 侍ジャパン戦では1番バッターとしてチャンスメイク。オデュベルと熾烈なレギュラー争いを繰り広げる。

 

○ドゥエイン・ケンプ/Dwayne Kemp 172cm/72kg 1988年2月24日27歳

 ロッテルダムネプチューンズ 右右 「オランダ」 セカンド、ショート、サード、外野

19歳からオランダホーフトクラッセで活躍する、オランダ国内の人気選手。尊敬する選手はロビンソン・カノー。20~21歳の2年間はカブス参加のRk、Aでプレーし、経験を積んだ。普段はセカンド、ショートで軽快なフィールディングを見せる。

2011ワールドカップではレフトも担い器用なところを見せたが、見てる方は冷や汗をかいてしまうようなぎこちない身のこなしだった。小柄ながらパンチ力も秘めており、セーフティバントなどで相手を揺さぶることも可能だ。

 2016年シーズンは3割を下回り、不甲斐ないシーズンになったが、最後のオランダシリーズで活躍しMVPを獲得。汚名返上に成功した。

 今大会では、外野の守備固めのほか、代走などのスーパーサブとしての活躍が期待される。