2強は不動も若手と日本人が躍動!? ~2021年蘭ホーフトクラッセ~
ベーブルース以来、103年ぶりの二桁勝利・二桁本塁打に向けて大谷翔平選手は正念場を迎えている。残り20試合に近づき、本塁打王争いではゲレーロ.Jr選手やペレス選手が猛追。調子を戻し、このまま本塁打数を伸ばし、タイトルを射止められるかに注目が集まる。
オランダでは一足先にシーズンの全日程が終了。今年もネプチューンズがシーズン1位通過を決めた。
○不動の2強とパイオニアーズの凋落
上位2強は変わらず。ただし、何より例年と様相が変わったのが、3位4位。これまで10年以上近く4強を守ってきたパイオニアーズが凋落。コロナの影響で通常の半分21試合しかできなかった昨年の勝利数13勝と同じ数しか勝てず、5位に転落。代表でも主力のエースハイヤー、ローテ投手のファウが抜けた穴が大きかった。打線でも昨年のMVPフィクター・ドライアー、遊撃の守備が要だったマックス・ドライヤーが抜けた。レッドソックスで活躍するボーハールツ(ボガーツ)の双子の兄弟が加入するも打線の弱体化は止められなかった。
○オランダの広島カープ、HCAWの躍進
これに代わって一躍3位に躍り出たのがHCAW。これまでも若手有望株の宝庫として、数々のオランダ代表選手を輩出してきた。楽天でプレーしたルーク・ファンミル投手もこの球団の出身だ。首都アムステルダムの郊外バッセムを本拠地とし、地元の熱烈なファンに支えられる歴史ある球団だが、今年は大補強に踏み切った。パイオニアーズのエースハイヤー、アムステルダムから代表でも活躍した左腕のプルーヘル、もともとこのチームでエースだったグラウンドボーラーのブルヘイスデイク。この3人でシーズンを通してローテーションを安定して回せたことが非常に大きかった。また、クローザーとしては左腕のクールが6セーブをあげた。
打線の中心は昨年MVPのフィクター・ドライアーとボニファシオ。この2人が2番3番で固定できため、一定の得点パターンを確立できた。脇を固める打者にも元プロスペクトのダール捕手やアムステルダムでユーロ優勝も経験したベテランクルースなど2強に引けを取らないタレントが揃ったことが大きかっただろう。
○U23世代と日本人選手が融合したツインズ
2016年に2部オーフェルハンフスクラッセから昇格したツインズ。それから毎年のように日本人選手を補強してきました。元阪神タイガースの新人王、上園啓史投手。横浜やホークスで活躍した吉村裕基選手。NPBでも活躍した選手たちが所属し、若い選手たちとともに汗を流してきた。
今期からはBCリーグ茨城アストロプラネッツと業務提携を結び、若い投手2人をツインズに受け入れた。中村泰成投手は先発ローテとして、大場駿太投手はリリーフエースとしてチームのAクラス進出という躍進の大事なピースになったのは間違いない。シーズン1位のロッテルダムネプチューンズから勝利を挙げた試合の立役者にもなり、彼ら日本人が若手と融合した。
【蘭野球プレーオフ】
— 蘭野球事始HonkbalJP (@macchakiromen) 2021年9月6日
ツインズ(4位) 0-5 ネプチューンズ(1位)
ネプチューンズは3連勝でオランダシリーズへ進出。ツインズ先発はBC茨城から派遣されている中村投手@taisein1027 5回途中被安打2四球5奪三振2で2失点。リリースした大場投手@S527b は2回1/3を被安打3四球3奪三振2失点1。@ibaraki_planets
シーズン成績では中村投手@taisein1027 が11先発で3勝4敗51回2/3で防御率4.35、49奪三振。大場投手@S527b が18当番4勝1敗35回2/3で防御率2.53、37奪三振。
— 蘭野球事始HonkbalJP (@macchakiromen) 2021年9月6日
2人とも日本野球の力を十二分に発揮し、今までの日本人助っ人と引けを取らない活躍でした。@ibaraki_planets
当時からいる選手も少なくはなってきたが、2019U18オランダ代表だったタイリック・ケンプ内野手やルードリック・ピーターネラ外野手などが1年間通して経験を積み、ある程度の数字を残せたのは大きい。投手ではポステルマンスも高い奪三振率を誇り、中村投手とともにローテーションを回した。また、アメリカの大学でプレーし、1~2月にはヤクルトのファンデンハルク(バンデンハーク)投手の練習相手も務めるデイフ・ヤンセン捕手はディフェンス面で安定し、投手陣を引っ張った。
U23ユーロで正捕手としてオランダを優勝に導いたデイフ・ヤンセン捕手のプレー集。ブロッキング、スローイングよい。打撃も頑張ってくれれば。 https://t.co/cW7RHfr8Zi
— 蘭野球事始HonkbalJP (@macchakiromen) 2021年9月4日
すでに行われたプレーオフでは、首位のネプチューンズに3連敗し、シーズンが終了したが、若い選手たちには刺激的な1年になったのではないだろうか。冬の移籍市場で若い選手たちの去就がどうなるか分からないが、来年が非常に期待される。また、来年はどんな日本人が加入するのか、更には、ツインズからBC茨城へのオランダ人選手の移籍はあるのか、蘭球界でも話題の多い球団になってきた。
さて、フライングしたが、シーズン終了後9月3日からプレーオフが始まった。シーズン1位VS4位、2位VS3位がそれぞれ3勝勝ち抜けで争い、勝者同士がオランダシリーズに進む。9月12日現在の結果はこうだ。
プレーオフBはHCAWが王手をかけているが、ヨーロッパ選手権が開幕するため、次戦は9月25日。2019年覇者のアムステルダムを破りオランダシリーズへのチケットを手に入れられるかどうか、注目が集まる。
プレーオフやヨーロッパ選手権については、Twitterで情報発信していくのでそちらもチェックして欲しい。
また、次回からは個人タイトル・成績にフォーカスして紹介していく。