蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

オランダ国営テレビ生中継で蘭国民が注目!?~2021オランダシリーズ~

 日本プロ野球NPB)では、両リーグとも昨年再開のチームが優勝し、いよいよクライマックスシリーズが始まろうとしている。野球の本場アメリカでは五輪での休止期間がなかったため、一足先にポストシーズンまで終了。アトランタブレーブスワールドシリーズを制した。

 

 ヨーロッパのオランダでは、年間42試合という試合数が少ないこともあり、8月末にペナントレースが終了。9月は3つの国際大会があったため、その合間を縫って上位4チーム、下位4チームに分かれてのプレーオフ、プレーダウンが実施された。

 上位4チームに入ったのは2強のアムステルダムロッテルダム。そして、若手有望株の多いHCAWとツインズ。プレーオフは1位と4位、2位と3位が対戦。その勝者同士がオランダシリーズに進むという流れだ。

 

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プレーオフA順位表

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プレーオフB順位表


 プレーオフAは、シーズン1位のネプチューンズが地力の差を見せつけ、ツインズをスイープで退けた。プレーオフBは3位のHCAWが大健闘。先に2勝を挙げ、オランダシリーズ進出に王手をかけたが、土壇場で2連敗を喫し下剋上でのオランダシリーズ進出を逃してしまった。しかし、強豪アムステルダムに対して打ち勝つ試合もあったり、来年につながる試合となったのではないだろうか。例年、オフには選手の流出が多いHCAW。来年の優勝を狙うのであれば、今季の主力を残留させることができるかが、非常に重要なポイントだろう。

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オランダシリーズ2021

 さて、今季のオランダシリーズもおなじみの顔ぶれでの対決となった。アムステルダムロッテルダムの対戦は2016年から6年連続となった。その間の対戦成績はネプチューンズの3勝、アムステルダムの1勝だ。昨年2020年は、オランダシリーズ開催期間中に蘭政府による緊急事態宣言が発令され、惜しくもシリーズ打ち切りとなり異例の優勝チームなしとなった。シーズン1位のネプチューンズのほうが選手層の厚みがあることは明白だが、アムステルダムもシーズン終盤にかけてオランダ代表でもあるマーティスやシャーロン・スホープが合流した。大方の予想としても第6、7戦までもつれるだろうとの見立てだったが、その通りの結果となった。

 最終第7戦までもつれた結果、アムステルダムが逆転での優勝。第1戦から簡単に振り返ってみたい。

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オランダシリーズ第1戦

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オランダシリーズ第2戦


 ネプチューンズは1戦目2戦目と連続でマークウェルを先発投手として起用した。2戦目までの間に中5日空いていたことからこの起用になったが、結果として裏目に出た。アムステルダムは1戦目にマーティス、2戦目にスルバランを先発起用。両投手とも、現役のオランダ代表投手ということもあり、マーティスが完封、スルバランが1失点完投という最高の結果をもたらした。元代表左腕の大ベテランマークウェルも、両試合とも最低限の失点で防いだが、アムステルダムの勝負所での得点に泣いた。特に2戦目はランペの1発が大きかった。

 

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オランダシリーズ第3戦

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ケフィン・ケリー投手(photo:Henk Seppen)

 3戦目、ネプチューンズは一か八かの大勝負に出た。なんと代表でもリリーバーを務めるケリーを先発投手として起用したのだ。これは、オランダシリーズを何度も経験しているネプチューンズの得意技で、過去にもリリーフエースファンドリールを先発起用し、彼のシリーズMVPとなる活躍で優勝を手にしたことがあった。この経験を思い起こしたのかわからないが、なんとこの試合をケリーの完封劇でものにしたのだ。得点は初回に相手先発マーティスのワイルドピッチと、レオノラの内野ゴロの間に手にした2点だけ。力強いまっすぐを主体に9奪三振の圧巻のピッチングだった。普段見られないケリーの長いイニングの投球。こうしたレアケースを見られるのもオランダシリーズの魅力だ。

 

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オランダシリーズ第4戦

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カイ・ティメルマンス投手(photo:Henk Seppen)

 そして第4戦。先発はお互いに若手投手。お互いにU23オランダ代表メンバー。ネプチューンズがデフロート、アムステルダムがデフラーウ。しかし、ネプチューンズ先発のデフロートは初回に2失点。その後もコントロールが安定せずドタバタしていた。ここで思い切ってティメルマンスにスイッチ。彼も本来先発投手で、代表にも選出される選手だ。3回から9回途中までを無失点で投げ抜き、打線も大爆発。これで勝敗を2勝2敗の五分に戻した。シーズンでは見られない思い切った投手起用でネプチューンズに流れが大きく傾いた。

 

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オランダシリーズ第5戦

 第5戦はマークウェルが3度目の先発。10安打を浴び4失点を喫するも、打線がスルバランから小刻みに得点し勝利。これで王手をかけた。流れは完全にネプチューンズ。第3戦で先発したケリーは本来の守護神として登場しセーブを挙げるなど、大車輪の活躍だ。

 

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オランダシリーズ第6戦

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カリアン・サムス外野手(photo:Henk Seppen)

 勝負の第6戦は場所をアムステルダムに移した。この試合はオランダ公共放送の生中継もあり観客も1000~1500人近く動員しただろうか。終盤にかけて盛り上がりも出てきた。ネプチューンズは先発投手に1週間前にロングリリーフで好投したティメルマンスを持ってきた。アムステルダムは同じくデフラーウ。まだまだ安定して140キロ以上の速球を投げられないデフラーウ。ブークハウトに特大のツーランを浴び先生を許してしまう。しかし、アムステルダムの主砲カリアン・サムスが反撃のソロホームランを放つと、5回には打線が爆発。ネプチューンズのセンターダーンティのエラーもあり一挙6点追加で逆転。アムステルダムは守護神のフロートが6回途中からロングリリーフしそのまま逃げ切った。

 

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オランダシリーズ第7戦

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シャイロン・マーティス投手(photo:Henk Seppen)

 両チーム泣いても笑っても最後となった7戦目。ネプチューンズはまたしても守護神ケリーを先発起用。アムステルダムは身内の結婚式で一時キュラソーに帰島していたマーティスがとんぼ返りの大移動で先発登板。両者とも好投していたが5回表にアムステルダム犠牲フライで先制すると、続くチャンスで主砲サムスが決勝スリーランホームラン。代表でも主砲としてオランダを引っ張って来たサムスが勝負所での格の違いを見せつけた。

 ネプチューンズも今年で引退する元代表選手のファンドリールが8,9回を完璧にリリーフするなど粘りを見せたが一歩及ばず。マーティスがまたしても9回を投げ切り優勝投手に。キュラソーからとんぼ返りしたとは思えないパフォーマンスを見せた。

 この両チームのオランダシリーズは毎度6,7戦目までもつれ、見ているほうはほんとにハラハラした戦いになることが多いが、今シーズンも期待を裏切らない戦いを見せてくれた。オランダ代表を引退したサムス、マークウェル等が元気な姿を見せ、オランダ公共放送での生中継も7試合中3試合。アムステルダムでの試合は観客動員も1000人を超えた。少しずつオランダホーフトクラッセも魅力あるリーグとしてオランダ人に浸透していくのを願うばかりです。

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優勝を喜ぶアムステルダムナイン(photo:Henk Seppen)

 そんな中、この裏で行われた2部リーグとの入れ替え戦デンハーグに本拠地を置くストークスが敗北。本来なら2部へ降格なのだが、このまま残留し、ストークスを撃破したRCHペンギンズを1部に加え、来季は9球団でホーフトクラッセが行われるというビッグニュースが飛び込んできた。試合数は増えるのか?1チームは毎週余って試合がないチームが出てくるのか?など、いろいろな疑問が出てくるが、それはまた次回の記事で語っていきたい。