蘭野球事始 ~オランダ野球風説書~

自称日本一オランダの野球に詳しいブログ

ヨーロッパカップ2015 ロッテルダム 大会6日目・最終日

 

6月7日(日) 大会6日目・最終日

AVG・ドラッシ・ブルノ(チェコ) 2-8 キュラソーロッテルダムネプチューンズ(オランダ)
勝:K・ファンデンブランデン(ネ) 負:R・フロウスト(ド)

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8月のヨーロッパカップ決勝をかけた一戦は、これまで5戦全勝、本拠地開催のオランダのキュラソーロッテルダムネプチューンズと、2連敗から3連勝を決め勝ち上がって来たチェコAVG・ドラッシ・ブルノの対戦。

大会2日目の予選では、6対1とネプチューンズが勝利。ネプチューンズとしては、予選同様安定の試合運びで決勝進出を決めたいところ。一方のドラッシにとっては、予選の借りを返す絶好の機会。二強の一角、大本命であったASDリミニを下した勢いそのままに、大物食いの再現を狙いたいところです。

結果は2対8でネプチューンズの勝利。スコアだけ見れば予選同様、大差での勝利となりました。しかし実際は7回表終了まで、2対1でドラッシリードの展開。ネプチューンズはドラッシの継投策を前に、ヒットは出るもののなかなか打ち崩せず。会場にもこのまま試合終了の雰囲気が漂い始めていました。

しかし最終的には、ドラッシに逃げ切れるほどの選手層は無く、7回裏にネプチューンズが一挙6点を挙げ逆転を許します。ネプチューンズは、逃げ切りに失敗し絶望的な雰囲気のドラッシを攻めたて2点追加。ビッグイニングを作り、後は自慢の継投策で逃げ切る必勝パターン。結果2対8で試合終了、ロッテルダムラウンド優勝を決め、8月予定の決勝進出を決めました。

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1回表、ネプチューンズの先発はエースのD・マークウェル。初戦のKNTU・エリザベートグラード戦では5回被安打2、無失点とパーフェクトピッチングを見せたベテラン左腕。しかしこの試合ではいきなりピンチを迎えます。先頭のM・オンドラチェックに2球目を右中間に弾き返す3塁打を許すと、続くM・シュナイダーにセンターへ犠牲フライを打たれあっさり先制されます。2回表にも全体的に高めのピッチングが続き、四球とヒットで1アウト1、2塁。8番P・ブドスキーに初球をレフト前に運ばれ2失点目。先日のリミニ戦同様、先制されてからの展開に不安の残るネプチューンズ。早めに1点ずつ返していきたいところ。

ドラッシの先発はチェコ代表として大舞台を経験して来たP・ミナリク。初戦のテンプライヤーズ戦では、ピリッとせず4回2失点で負け投手。終わり良ければ全て良し、この大一番での投球に注目が集まるところ。

2回裏、2点ビハインドのネプチューンズはこの日5番に入った、R・フェルノーイを四球で出塁。続くC・ディアスは1ボールからインコースの直球をきっちりライト前。確実に送りたい場面で7番G・ロペス。ロペスも一発で送りバントを決め、1アウト2、3塁とお膳立てが整い、チャンスに強い8番B・ディレ。ストライクを取りに来た低めの変化球を積極的に打ちセンター前。3塁ランナーのフェルノーイがホームに還り1点差。2塁走者のディアスも果敢にホームを狙うも、センターからの好返球に阻まれ本塁タッチアウト。後続も打ち取られこの回1点止まり。1アウト2、3塁から1点しか返せなかった反動からか、この後のネプチューンズの攻撃もどこか波に乗りきれず。

3、4回は先頭が出塁するものの、なかなか塁を進める事が出来ず無得点。5、6回はスコアリングポジションまで進めるもののタイムリーが出ず、2点目を取りきれないまま回は進みます。

7回表からネプチューンズのマウンドには、大会3日目ハイデンハイム戦を4回1失点に抑えて以来の、K・ファンデンブランデンが登ります。すると起用に応えるかのように、7、8、9番を全てフライアウトに仕留める好投。この試合初めての三者凡退で、7回裏の攻撃に繋げます。

7回裏、ドラッシのマウンドには4番手R・フロウスト。6回を投げたM・ソボトカは1イニングを無失点に抑えたものの2四球。変化球が全部高めに抜け、本調子とはほど遠い内容。早めの継投という事で、フロウストをマウンドに上げる。3日目のKNTU戦では9回2四死球で完投勝利を挙げたものの、15安打6失点を許しており、直球主体ではあるがスピードよりもコントロール重視で、ストライクにどんどん投げ込むピッチャー。ボールをしっかりと選び、かつ比較的早いカウントから打ってくるバッターが多いネプチューンズとはあまり相性が良く無いタイプの投手。

そして案の定、このフロウストが大誤算。先頭の7番ロペスはサードゴロに打ち取ったものの、絶好球を完全に打ち損じた打席。8番ディレは2–1と打者有利のカウントから甘い球を見逃さずレフト線を破り出塁、ワイルドピッチで2塁に進む。9番S・ダーンチは粘りに粘るが、10球目をセンターライナーで2アウト。確実に捕まり始めて来ている模様。打順はトップに戻り、今大会好調をキープしている1番S・ファンデルメール。2アウト2塁、カウント1–1まで一度も振らず、3球目の真ん中に甘く入ったスライダーを右中間へ一閃。ディレに替わり代走で出ていたU・ケンプが2塁から快足をとばし生還、ファンデルメールは2塁へ。ついに同点に追いつく。この勢いそのままに、2番D・ケンプが1-0から、ストライクを取りに来た球を三遊間へタイムリー。この回2点目で一気に逆転。この後もドラッシはピッチャーをR・フロウストから5人目のJ・ヴァソレクにスイッチするも、ネプチューンズの勢いは止められず。打率4割超えの4番G・ブークハウト、5番フェルノーイ、6番ディアスの連続タイムリーでこの回一挙5点、スコア2対6で得意のビッグイニングで一気にひっくり返す。

8回裏にも2点追加し2対8。ドラッシ陣営は完全に試合を諦めた雰囲気。この日は継投をせず、7回から登板のファンデンブランデンが最後までマウンドに。結局3イニングを被安打1に抑えゲームセット。ドラッシとしては最後まで逃げ切れる駒が足りなかった、一方のネプチューンズはそこを見越してか、最後まで諦めずに最初の2失点だけで耐えた事が結果に繋がった試合でした。


最終決戦前のシートノック


終戦のメンバー表


閉会式